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国枝慎吾、去年の金メダルを振り返り「色々な想いが勝利の瞬間にあった」【単独インタビュー】<SMASH>

前道右京(スマッシュ編集部)

2022.10.17

挫折を乗り越え、勝利の瞬間を振り返る国枝。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 7月のウインブルドンに優勝し、四大大会とパラリンピックを全て制する「生涯ゴールデンスラマー」となった国枝慎吾(ユニクロ/世界ランキング2位)。38歳でもなお、世界のトップで戦い続ける車いすテニス界のレジェンドだ。自身のキャリアで最も達成感を感じたことや、国枝が目指す会心のバックハンドについて話を聞いた。
 
 長いキャリアの中で、最も達成感があった瞬間について聞いてみると、「去年のパラリンピックでの金メダルですね」と即答。「アテネパラリンピックから数え、ダブルスも入れると4つ(金メダルを)取っていて、どれも涙を流しました。でも、やっぱり去年の金メダルほど、終わった後も達成感に浸ったのは、今までになかったですね」と充実した表情で振り返った。
 
「東京パラリンピックの開催が決まったのが、2013年なので、7、8年間かかった夢だと思います。挫折してから東京パラリンピックまでの4、5年間、復帰のストーリーが僕の中にもあったので、色々な想いが、勝利の瞬間にはありました」
 
 その達成感があったがゆえに、今年1月の全豪オープンを迎えた時、「もうテニスをやめようと思っていた」と言う。

 しかし、国枝は終わらなかった。全豪オープン決勝で、今まで打ったこともないような会心のバックハンドが2本連続で飛び出したのだ。「それ(全豪の決勝で打ったバックハンド)を再現しようと思うことで、自分の燃え尽きた状態から立ち直りました。その想いが今シーズンを支えていたと思う」と言い、それが現在のモチベーションの1つになっているようだ。
 
 さらに現在、そのバックハンドにも手応えを感じている様子だ。「全豪オープンの時はまぐれかもしれないですけど、少しずつ感覚をつかんできました。ウインブルドンでも(そのショットが)出ましたし、どんな状況でも打てるわけではないですけど、だいぶ自分のものになってきたかなと思います」と自信をにじませた。

 世界のトップでまだまだ成長を続ける国枝。これまで数々の偉業を打ち立ててきたが、果たして残りのキャリアではどのような活躍が見られるだろうか。今後もそのプレーぶりが楽しみでならない。

取材・文●前道右京(スマッシュ編集部)
取材協力●ヨネックス株式会社

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