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DV容疑で起訴の元世界16位バシラシビリに無罪判決!「元妻による虚偽の告発は耐えがたいものでした」<SMASH>

中村光佑

2022.10.23

元妻からDV容疑で訴えられていたバシラシビリだったが約2年に及ぶ裁判のすえに無罪が確定した。(C)Getty Images

 現地10月21日、元妻へのDV(家庭内暴力)容疑で起訴されていた男子テニス元世界ランク16位のニコロズ・バシラシビリ(現93位)の裁判が母国ジョージアの首都トビリシ市で行なわれ、同選手の無罪が確定。評決後、バシラシビリは「公正な判決が下された」と喜びを語った。

 2012年9月にバシラシビリと結婚したネカ・ドロカシビリさんは「長らく家庭内暴力を受けていた」として、20年5月に元夫を告発。ちなみに2人は19年8月に離婚が成立したが、その1年前の18年から別居状態であったという。

 海外スポーツメディア『Sportskeeda』によると、「彼と彼の母が何かについてケンカをした結婚式の当日から始まった」元夫の度重なるDVにより肉体的にも精神的にも追い詰められていたというドロカシビリさんは、今年9月末に法廷でこう証言していた。

「彼と一緒に住んでいた時、私は彼から身体的な暴力だけではなく、心ない言葉を浴びせられていました。彼は私を束縛し、私のお金もSNSのアカウントも彼がコントロールするようになっていたのです。

 結婚して半年ほどたってから私は虐待を受けるようになり、彼は侮辱するような呼び名で私を呼ぶようになりました。その直後から身体的な暴力も始まりました。ベッドに横たわって寝ている私の耳に、冷たい水をかけてきたこともありました。彼が成功を収めた暁には自分は王様だと宣言し、私は彼の召使いのように振る舞うべきだと言われたりもしました。他には頭の上に食べ物を置かれたりと…いろいろなことをされていたんです。元夫の両親まで私を罵倒していました」
 
 だが当のバシラシビリは告発を受けてから約2年以上にわたり、容疑を頑なに否定してきた。精神的ならびに経済的暴力の疑いで追起訴までされたものの、彼の弁護士を務めるイルマ・チュカドゥア氏も「元妻の申し立ては全くの無実である」と主張。「離婚手続きを始めたのはバシラシビリのほうだった」と明かした同弁護士は「彼の元妻が偽のIDを使って勝手に2019年全米オープンのロッカールームに入り込んで彼と口論した。その後からはむしろドロカシビリ氏にもバシラシビリ氏にプレッシャーをかけるような行動が見られた」とも話していたのだ。

 コーカサス地方(ジョージアを含む地域)のニュースメディア『OC MEDIA』によると、このほどトビリシ市裁判所は「目撃者の証言とビデオ音声録音、心理検査の結論を含む代替捜査の一環として被告側の弁護士が入手した証拠を評価した」結果、ドロカシビリさんの行動からバシラシビリが「心理的に苦しんでいた」として無罪を宣告。これを受けてバシラシビリは「公平な決定が下されました。元妻によるこれらすべての虚偽の告発は、私にとって非常に耐えがたいものでした。すべてが終わったことをとてもうれしく思います。私にとって今の優先事項は、子どもとの関係を回復することです」とのコメントを残した。

 裁判を終えたバシラシビリは間もなく開幕する男子テニスツアー「エルステバンク・オープン」(10月24日~30日/オーストリア:ウィーン/インドアハードコート/ATP500)に出場予定。1回戦では第1シードのダニール・メドベージェフ(ロシア/4位)と対戦する。

文●中村光佑

【写真】なかなか見られないバシラシビリらプロ選手の練習やテニス教室の様子