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【伊達公子】奈良くるみ、尾﨑里紗が引退。長いキャリアでは変化に順応する力が絶対に必要<SMASH>

伊達公子

2022.11.04

長いキャリアでは「アップダウンがあるのが当然」と言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 日本女子テニス界でも今年、日本を牽引してきた選手の引退がありました。(奈良)くるみちゃんと、(尾﨑)里紗ちゃんです。

 くるみちゃんは、小柄な身長(155.5センチ)でトップ50に入ったのはすごかったですね。ちょうど彼女が高校生でプロになる1年前に大会で会いました。その当時のテニスと、ツアーに入ってからのテニスでは変化していたのを覚えています。すごく打つプレーから、しつこい、空間を使うテニスに変えていきました。昔のままの打つテニスではトップ50に入れていなかったでしょう。

 プレースタイルを変えるのは勇気のいることですが、自分の体格で世界と向き合うために必要なものを追求して、実行した結果だと思います。まして、現在のパワーテニスの中で、やり抜くのは大きなチャレンジだったに違いありません。

 くるみちゃんとは、よく練習もしたし、ツアー中も食事に行ったりしました。里紗ちゃんとも日本にいた時は一緒にトレーニングをしました。アカプルコの大会で一緒だった時は、ツアーで戦っていく上でどうしていくのがいいか話をした記憶があります(笑)。

 里紗ちゃんはトップ100を切った時期もありましたが、タフなプロとしてのメンタルという点が課題だったかもしれません。それがもう一皮むけていたら変化があったかもしれないですが、それも含めてテニスキャリアです。
 
 2人のキャリアを見てもわかるように、良い時期だけではなく、アップダウンがあるのが当然です。プロの世界に入ると、時代が変わり、周りも変わっていくため、変化に順応する力を常に持っていなくてはいけません。

 特に賞金も上がりキャリアが長くなってきています。長いキャリアでは山あり谷ありです。1度落ちてもそこから這い上がるには、時代の流れにいかに順応していくかが絶対的な要素として挙げられます。テニスの場合、プロになるのは簡単ですが、第一線に居続けるためには、その力が必要です。

 引退後はそれぞれ自分のやりたいことを見つけてやってほしいと思います。くるみちゃんは、すでにJWT50(Japan Women’s Tennis Top50 Club)のメンバーに加入して共に活動がスタートしています。

 年代を問わずに受け入れられやすい性格なので、クリニックでも活躍するでしょう。でもまずは、引退直後のまだ動ける時ですから、世界で戦うために必要なことを、世界を目指すジュニアたちに絞った形で伝えてほしいと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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