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「シモナに同情している」ドーピング違反で揺れる元世界1位ハレップをWTA会長が擁護<SMASH>

中村光佑

2022.11.03

ドーピング違反に揺れるハレップ。疑惑を徹底的に晴らすと宣言した。(C)Getty Images

 10月下旬にドーピング違反が判明し、暫定的な出場停止処分を課された元世界女王のシモナ・ハレップ(ルーマニア/現世界ランク10位)。本人は一貫して無実を主張しており、彼女の元コーチであるダレン・ケーヒル氏や男子元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア)をはじめ、テニス界からも擁護の声が続々と上がっている。

 そんななか、WTA(女子テニス協会)の会長を務めるスティーブ・サイモン氏もコメントを発表。このほど応じた『AP通信』のインタビューで、ハレップがドーピング違反を犯したとする報道に懐疑的な見方を示した。

「彼女が意図的に違反をしたのではないと信じている。シモナに同情しているよ。私は彼女の誠実さを決して疑わない」

 その一方で同氏は、「アンチ・ドーピングの動き自体は支持しており、そういう動きがあるのは良いことだ。選手たちもドーピング反対の動きを支持しており、ハレップにも訊いたけど、彼女もそれには賛成している」とも発言し、次のように続けた。

「私はハレップの件が、アンチ・ドーピングのために用意されたプロセスを経て、真実が明らかになると確信しているし、それに従って対処していくつもりだ」
 
 テニスの不正を監視する団体『ITIA』(国際テニス・インテグリティー・エージェンシー)によると、ハレップのドーピング違反は今年8月の全米オープンで採取した検体を検査した際、2つのサンプルのうちの1つからWADA(世界アンチ・ドーピング機構)の禁止リストに記載されている「ロキサデュスタット」が検出されたためだという。

 ハレップの要求により、もう片方のサンプルも検査したところ、同様の所見が確認されたため、強制的な暫定出場停止処分が下された。

 これを受けてハレップは自身の公式SNSで「私の人生で最大のショックでした」と心境を明かしたうえで、「私のキャリアにおいて、不正行為などは一度も考えたことがありません」と強く反発。「私の人生で最も困難な試合が始まる。真実のための戦いです」として、徹底的に疑惑を晴らす構えを見せている。

文●中村光佑

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