海外テニス

ウインブルドンが女子選手の色付き下着を許可!生理中にストレスのかかるオールホワイトルール変更決定<SMASH>

中村光佑

2022.11.18

女子選手にとってストレスになっていたウインブルドンのオールホワイトルール変更が正式に決まった(写真は2022年大会優勝のエレナ・リバキナ)。(C)Getty Images

 先日、全身を白色のウェアで統一しなければならないという厳格なルールに変更が加わる可能性があると報じられたテニス四大大会「ウインブルドン」。大会主催側はこのほど声明文をリリースし、女子選手の色付き下着着用を認めると正式に発表した。

 これまでは幅1センチ以内の縁取りやスポンサー等のロゴ以外、ウェアだけではなくリストバンドやソックス、下着に至るまで「全て白色でなければならない」と定めていたウインブルドンの「オールホワイトルール」。

 ところがこの伝統的かつ独自の規定はとりわけ生理中の女子選手の悩みの種となっていた。実は2016年のリオ五輪女子シングルス金メダリストで今年6月に現役を引退したモニカ・プイグ(プエルトリコ)が、以前自身のSNSで「ウインブルドンの大会期間中には生理が来ないように祈らないといけない。白ウェア着用のルールは精神的なストレスになる」と問題提起を行なったところ、現役選手からも大きな反響を呼んでいたのだ。

 また男子元世界王者のアンディ・マリー(イギリス)の母で、テニス指導者としても著名なジュディ・マリー氏も、先日応じた英紙『Daily Mail』の取材で、女子選手の生理に言及しつつ「以前問題になっていたのは様々なスポーツで常に白いショーツや白いキットが使用されるなど、全てが白基調だったこと。今はほぼ全てのスポーツがカラーウェアの着用に移行している。真っ白なウェアを着ていて、プレー中に経血の漏れを起こす可能性があることについては、もっと多くの選手がオープンに話す必要があるかもしれない。それ以上のトラウマはないでしょうからね」と、ウインブルドン特有のルールに対する私見を述べていた。
 
 さらに、今年7月のウインブルドンでは女子シングルス決勝の直前に「Address The Dress Code(白色ウェア規定の問題に目を向けてほしい)」と題した抗議活動まで行なわれ、抗議者たちはイギリスの大手日刊新聞『The Guardian』のインタビューの中で「女子選手が白いウェアを着てプレーする際に直面する不安を訴えたい」と語っていた。

 こうした状況を踏まえ、ウインブルドンの主催側は今回の声明文で「選手および様々な利益団体の代表者と協議した結果、運営委員会はウインブルドンにおける白色ウェア着用のルールを更新する決定を下しました」と発表。

「来年から同大会に出場する女子選手は、希望によりカラー下着を着用することが可能となります。このようなルールの調整により、プレーヤーは自分のパフォーマンスに集中することができるようになり、不安の種がなくなることを期待しています」と説明し、全文を締めくくった。

 140年以上にもわたる歴史と伝統を守り続けてきた中でもたらされた大きな変革。これにより一人でも多くの女子選手が伸び伸びとプレーできるよう願うばかりだ。

文●中村光佑

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