このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがすごい」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。
第25回は、鋭い両手バックハンドを武器にしていた寺地貴弘プロ。注目しているのは、ストローカーで両手バックハンドのアレクサンダー・ズベレフだ。
ズベレフで注目したいのはフォアとバック共に「角度が付いたショットを打って、相手をコート外に追い出せる点」だと言う。プロならば、スピンをかけてショートクロスに打つことはできて当然だ。しかし、ズベレフは「上背(198センチ)があり、スイングをコンパクトにして打てるので、ボールスピードを出しながら、浅いクロスに打てるんです」と、他の選手との違いを挙げた。
ストローク戦で強いのは、「フォームがシンプルで、打点が変わることなく、身体のバランスを崩して打つことも少ない。常に同じ打ち方ができる」ためだと言う。また、ストロークの威力は男子テニス界でもトップで、「長身で手足が長く、遠心力を使ったフォームで打てます。細身に見えますがパワー負けしません」
その強力なストロークは、全米オープン覇者のホアン・マルティン・デルポトロに近いものがあると言う。「フラット系で突き刺すようなボールが打てます。回転系のボールでじわじわとラリーを有利に進めるのではなく、1球で相手を崩せる選手というのはそういません」
2022年全仏オープン準決勝で初めての大きな故障を経験したズベレフは、今月にエキジビションでの復帰が予定されている。「ケガからの復帰は難しいですが、ケガをする前と同じレベルでプレーできるなら、グランドスラムは取れると思います」
10代の頃から次世代の王者候補と言われ続けてきたズベレフも25歳。才能は誰もが認めるだけに、グランドスラム優勝、そして世界1位へと昇り詰める姿を見たいものだ。
◆Alexander Zverev/アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
1997年4月20日、ドイツ生まれ、モナコ在住。198センチ、90キロ、右利き、両手BH。19歳でツアー初優勝し、20歳でマスターズを含む5大会で優勝して3位にランクイン。20年全米オープン準優勝。21年東京五輪金メダル。両親は元テニス選手で、父親は現在のコーチ。兄ミーシャもテニス選手。キャリアハイは2位(2022年6月13日付)
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】ズベレフの高い打点からエースが取れるフォアハンド
第25回は、鋭い両手バックハンドを武器にしていた寺地貴弘プロ。注目しているのは、ストローカーで両手バックハンドのアレクサンダー・ズベレフだ。
ズベレフで注目したいのはフォアとバック共に「角度が付いたショットを打って、相手をコート外に追い出せる点」だと言う。プロならば、スピンをかけてショートクロスに打つことはできて当然だ。しかし、ズベレフは「上背(198センチ)があり、スイングをコンパクトにして打てるので、ボールスピードを出しながら、浅いクロスに打てるんです」と、他の選手との違いを挙げた。
ストローク戦で強いのは、「フォームがシンプルで、打点が変わることなく、身体のバランスを崩して打つことも少ない。常に同じ打ち方ができる」ためだと言う。また、ストロークの威力は男子テニス界でもトップで、「長身で手足が長く、遠心力を使ったフォームで打てます。細身に見えますがパワー負けしません」
その強力なストロークは、全米オープン覇者のホアン・マルティン・デルポトロに近いものがあると言う。「フラット系で突き刺すようなボールが打てます。回転系のボールでじわじわとラリーを有利に進めるのではなく、1球で相手を崩せる選手というのはそういません」
2022年全仏オープン準決勝で初めての大きな故障を経験したズベレフは、今月にエキジビションでの復帰が予定されている。「ケガからの復帰は難しいですが、ケガをする前と同じレベルでプレーできるなら、グランドスラムは取れると思います」
10代の頃から次世代の王者候補と言われ続けてきたズベレフも25歳。才能は誰もが認めるだけに、グランドスラム優勝、そして世界1位へと昇り詰める姿を見たいものだ。
◆Alexander Zverev/アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)
1997年4月20日、ドイツ生まれ、モナコ在住。198センチ、90キロ、右利き、両手BH。19歳でツアー初優勝し、20歳でマスターズを含む5大会で優勝して3位にランクイン。20年全米オープン準優勝。21年東京五輪金メダル。両親は元テニス選手で、父親は現在のコーチ。兄ミーシャもテニス選手。キャリアハイは2位(2022年6月13日付)
取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)
【連続写真】ズベレフの高い打点からエースが取れるフォアハンド