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国内テニス

【SBCドリームテニス】杉田祐一と西岡良仁、互いに交錯する足跡の先に見えるもの<SMASH>

内田暁

2022.12.11

元世界36位の杉田祐一(左)と現36位の西岡良仁(右)、互いにリスペクトし合う2人が有明で顔を合わせた。写真:SBC DREAM TENNIS/長浜功明、(C)Getty Images

元世界36位の杉田祐一(左)と現36位の西岡良仁(右)、互いにリスペクトし合う2人が有明で顔を合わせた。写真:SBC DREAM TENNIS/長浜功明、(C)Getty Images

 SBCドリームテニスツアー・ファイナルステージ(東京・有明/12月10・11日)の予選ラウンド。

 ネット際に駆けよる勝者は帽子を脱ぐと、一回、二回と深々と頭を下げ、対戦相手と固く握手を交わした。

 勝者は、西岡良仁。現在の世界ランキングは、キャリア最高位の36。

 対戦相手は、杉田祐一。現世界ランキング、913位。そしてキャリア最高は、5年前に記録した36位。なおこの“36位”は、男子日本人選手が到達した世界ランキングとしては、錦織圭に次ぐ歴代2位の記録である。

「ご報告です。ツアーから一度離脱することになりました。試合にも自分にもうまく向き合うことができない状況に陥ってしましました」

 2021年9月。杉田は自身のツイッターに、そのように綴っていた。「今までの自分、そしてこれからの自分を認めてあげることを最大の目的」として、セルビアに拠点を移してから約1年後のことである。

 1988年生まれ、現在34歳の杉田は、起伏に富むキャリアの踏破者だ。
 
 三菱電機とプロ契約を交わしたのは、まだ高校在学の時。18歳時にはデビスカップ日本代表に選ばれ、初勝利も手にした。これは当時の、日本男子最年少記録である。

 順風満帆の、プロキャリアの船出。だが急激な追い風は、本人が望んだ以上の加速と焦りを生んだだろうか。プロ2~3年目は結果が出ず、結果を求め孤独な旅を重ねては、心身が疲弊する悪循環に陥った。

 伊藤竜馬ら同期が100位の壁を突破する中、殻を破り切れずもがいた20代前半。その杉田に「テニス観が変わる」ほどの衝撃を与えたのが、ほかならぬ西岡だ。

 まだ17~18歳だった西岡のプレーを見た時、杉田は「凄く楽そうにテニスをするな」と感じたという。さらに西岡の日々の取り組みを見て、「まだ若いのに凄く賢い」と衝撃を受けた。

 いつトレーニングをし、いつツアーや試合に出るべきか? 目先の勝利を追うのではく、長期的視野に立ってスケジュールを組み、トレーナーやコーチへの投資も惜しまない。そんな西岡を、杉田は「恩人」と称するほどに参考にしたという。
 
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