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国内テニス

自分と対戦して「何が必要だと思えるか」――西岡良仁がSBCツアーに出た理由と、その思いを受け止めた清水悠太<SMASH>

内田暁

2022.12.13

世界レベルの西岡良仁(左)とは主戦場が異なる清水悠太(右)にとって、SBCツアーで直接戦えることは、大きな意味があった。写真:滝川敏之

世界レベルの西岡良仁(左)とは主戦場が異なる清水悠太(右)にとって、SBCツアーで直接戦えることは、大きな意味があった。写真:滝川敏之

 ネットを挟み打ち合う2人の姿は、まるで写し鏡のようだった。

 いずれもサウスポー。片や身長170センチ、片や163センチと小柄。両者ともに「得意なショット」は、低い軌道のバックハンド。ただし2人の世界ランキングには、36位と402位の大きな開きがある。

「SBCドリームテニスツアー」ファイナルラウンド――。西岡良仁と清水悠太の決戦を制したのは、西岡を「憧れ」と仰ぎ見る、清水だった。

 SBCドリームテニスツアーは、今年6月に産声を上げた国内最大の賞金大会だ。「ツアー」の名称を冠する通り、1年の間に複数回の大会を開催。総合獲得ポイント上位選手が、優勝賞金1000万円のファイナルラウンドへの出場権を得られる。

 さらにファイナルラウンドには、JTA(日本テニス協会)ランキング上位選手も出場可能。年間を通じ海外を転戦している西岡や清水も、オフシーズンに開催されるファイナルラウンドには、JTAランキング上位者枠で出場した。

 2日間の短期決戦となるこの大会は、そのフォーマットからしてユニークだ。初日にはラウンドロビンを、2日目には上位8名による決勝トーナメントを開催。決勝および3位決定戦進出者は、2日で6試合を戦う強行スケジュール。1セット4ゲーム先取(通常は6ゲーム)と短めではあるが、それでも競った試合は2時間を超えることも珍しくない。
 
 もちろん1000万円の優勝賞金は、過密スケジュールを越える魅力があるだろう。ただ、今季だけで100万ドル近くの賞金を獲得し、常々「お金よりもランキングポイントの方が重要」と言っている西岡にしてみれば、賞金そのものは大きなインセンティブではなかったはずだ。

 現に初日の時点では、「正直、テニスの練習は1週間くらいしかしてないし、トレーニングで追い込んでいた時期なので、負けるかなと思っていました」と明かしたほどだ。

 では彼が、今大会に求めていたものとは何か――?

「練習では得られない緊張感のなかで、試合をしておきたかったというのはあります」。まずはその点を挙げたうえで、こう続けた。

「(清水)悠太もそうですし、羽澤(慎治)や(高橋)悠介ら、普段戦うことのない選手と対戦し、どういうテニスをするのか知りたかったのはあります。彼らが、何ができて何ができなく、どういうことが必要だと思えるか? その経験の1つとして僕がいられたのがうれしいし、僕は、他の日本人選手と試合ができたのがうれしかったです」
 
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