現在、日本人選手のフロントランナーとして世界で戦う27歳の西岡は、4年ほど前から、後進が追い上げてこない事態に警鐘を鳴らしていた。そして今、西岡より年少者でトップ100入りした選手はなく、かつての期待のジュニアたちも足踏みが続いているのが現状だ。
西岡が募らせる危機感は、昨年末、ジュニアに支援金を与える大会を立ち上げるまでに高まる。“Yoshi's Cup”と銘打たれたその大会の第2回は、今週末(12月17~18日)に開催予定。西岡にとって現在は、大会準備で忙しい時期でもあった。
そのような多忙な時期にもかかわらず、西岡は今回のファイナルラウンドに出場した。参戦選手の大半は日ごろツアー下部大会を主戦場とし、西岡クラスのトップ選手との対戦経験はない。そのなかで自分が出場することが、いかに他選手たちのモチベーションを上げるかを、彼はよく理解していた。
決勝で対戦した清水は、その意味でのモチベーションが、最も高まった選手かもしれない。
「非常に体格も近いし、プレースタイルも似ていると思う。彼は世界で十分に戦えているので、参考になるし、こういうふうになりたいなと思わせてくれる選手」
清水は西岡をそう定義したうえで、「勉強させていただくつもりで試合に臨んだ」と言った。
マッチプランは、シンプルだ。
「攻めすぎると相手の思うつぼなので、なるべく同じペースでラリーをして、チャンスがあれば素早く攻める。それしかないなと思っていました」
第1セットは、重要な局面でダブルフォールトを犯し落とすも、「僕が負けても誰も驚かないので、すぐに切り替えられました」と照れ笑いをこぼす。
第2セット以降は、西岡の燃料切れは明らかだったが、それでも世界36位に勝ち切った清水が得たものは計り知れない。
「彼(西岡)はバックハンドが得意。彼の方が少し上ではあったんですが、意外とバックで打ち合えたので、僕もバックハンド得意と言えるのかな」
獲得したのは、自分の長所への確信。さらに清水は、こうも続けた。
「僕はフォアのストレートが苦手なのですが、西岡選手は本当に良い軌道で良いボールをストレートに打つ。そこは本当に良い勉強になりました」
対戦し肌身で感じた相手の強さは、自分が獲得すべき武器を照らす。
「こうすればいいのかな、まだまだ上に行けるんじゃないかなと、そう思える試合になりました」。日ごろ控え目な清水が、穏やかな口調に決意を込める。
そしてこの言葉こそが、西岡が今大会に出た最大の意義であり成果を映していた。
取材・文●内田暁
【PHOTO】SBC Dream Tennis Tour 2022/Final Round |清水悠太、西岡良仁ら上位入賞選手を一挙紹介!
西岡が募らせる危機感は、昨年末、ジュニアに支援金を与える大会を立ち上げるまでに高まる。“Yoshi's Cup”と銘打たれたその大会の第2回は、今週末(12月17~18日)に開催予定。西岡にとって現在は、大会準備で忙しい時期でもあった。
そのような多忙な時期にもかかわらず、西岡は今回のファイナルラウンドに出場した。参戦選手の大半は日ごろツアー下部大会を主戦場とし、西岡クラスのトップ選手との対戦経験はない。そのなかで自分が出場することが、いかに他選手たちのモチベーションを上げるかを、彼はよく理解していた。
決勝で対戦した清水は、その意味でのモチベーションが、最も高まった選手かもしれない。
「非常に体格も近いし、プレースタイルも似ていると思う。彼は世界で十分に戦えているので、参考になるし、こういうふうになりたいなと思わせてくれる選手」
清水は西岡をそう定義したうえで、「勉強させていただくつもりで試合に臨んだ」と言った。
マッチプランは、シンプルだ。
「攻めすぎると相手の思うつぼなので、なるべく同じペースでラリーをして、チャンスがあれば素早く攻める。それしかないなと思っていました」
第1セットは、重要な局面でダブルフォールトを犯し落とすも、「僕が負けても誰も驚かないので、すぐに切り替えられました」と照れ笑いをこぼす。
第2セット以降は、西岡の燃料切れは明らかだったが、それでも世界36位に勝ち切った清水が得たものは計り知れない。
「彼(西岡)はバックハンドが得意。彼の方が少し上ではあったんですが、意外とバックで打ち合えたので、僕もバックハンド得意と言えるのかな」
獲得したのは、自分の長所への確信。さらに清水は、こうも続けた。
「僕はフォアのストレートが苦手なのですが、西岡選手は本当に良い軌道で良いボールをストレートに打つ。そこは本当に良い勉強になりました」
対戦し肌身で感じた相手の強さは、自分が獲得すべき武器を照らす。
「こうすればいいのかな、まだまだ上に行けるんじゃないかなと、そう思える試合になりました」。日ごろ控え目な清水が、穏やかな口調に決意を込める。
そしてこの言葉こそが、西岡が今大会に出た最大の意義であり成果を映していた。
取材・文●内田暁
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