海外テニス

世界女王シフィオンテクは強力なライバルの出現を望む。突如引退のバーティーにも想い「自分を限界まで高めてくれる人が必要」<SMASH>

中村光佑

2022.12.27

女子テニス界のトップに君臨するシフィオンテク。今後もさらなる活躍に期待したい。(C)Getty Images

 先週に行なわれた男女混合のエキジビションマッチ「ワールド・テニス・リーグ」(アラブ首長国連邦・ドバイ/ハードコート)に出場した女子テニス世界ランク1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)が、アラブ首長国連邦のニュースメディア『The National News』に登場。そのなかで自らをより奮い立たせてくれる強力なライバルの出現を望んでいると語った。
 
 今年2月のカタール・オープンから7月のウインブルドン3回戦でアリゼ・コルネ(フランス/大会時37位/現36位)に敗れるまで連勝街道をひた走り、2000年以降で女子テニス史上最多となる公式戦37連勝を成し遂げたシフィオンテク。今季はグランドスラムでも6月の全仏オープンと9月の全米オープンの2大会で優勝を飾った。
 
「こんなにいいシーズンになったのは初めてだから、ちょっと不思議な感じ」と自身の成長ぶりに驚きを隠せない様子を見せたシフィオンテクだが、今年3月にランキング1位のまま突如現役引退を発表したアシュリー・バーティー(オーストラリア/26歳)を引き合いに、「今の自分のレベルに匹敵する選手が出てきてほしい」と野心ものぞかせる。
 
「人はみな、自分を限界まで高めてくれる人を必要としている。今年1月に(オーストラリアの)アデレードでアッシュ(バーティー)と対戦したときに、モチベーションが上がった。彼女が引退するまでの2、3か月は、『彼女と少しでも対戦できるようになり、もしかしたら勝てるかもしれない』と言えるようなレベルになるというのが最大の目標だった。私自身はライバルが出てくることは大歓迎よ。競い合える相手がたくさんいるのは素晴らしいことだから」
 
 そう語りながらも群雄割拠の時代に突入している女子テニス界の現状をふまえ、「来シーズンはまた違ったアプローチで臨まなければならないと思っている。私の最大の目標は、今年やってきたことを今後も継続すること。なまけてしまうから、今年の結果はもう振り返らないようにしようと思う。次の試合に集中しなければならないし、テニスでは何が起こるかわからないということを忘れてはならない」と、21歳の世界女王に油断は全くない。
 
 一方で「私はいつも年が明ける前に目標を設定している。でも今はその目標についてはまだ考え中よ。今回のプレシーズンも今までと何ら変わりはない。大会が近付いてから具体的な目標を掲げるつもりでいる」ともコメント。焦りは禁物だと自分に言い聞かせているようだ。
 
 なお、シフィオンテクは、12月29日からオーストラリアの3都市(シドニー・パース・ブリスベン)で開催される男女混合の国別対抗戦「ユナイテッドカップ」(ハードコート)で新シーズンをスタートする予定だ。今後のさらなる活躍に期待したい。
 
文●中村光佑

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