昨年2月末に始まったロシアのウクライナ侵攻を受け、同年7月のウインブルドンでは男女ともにロシアと同国の軍事攻撃を支援するベラルーシ出身の選手の締め出しを実行した。こうした動きを受けて今月16日から29日まで開催される年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン/ハードコート)でも、両国選手の出場を禁止するように求める声が高まっていた。
テニス系海外メディア『UBITENNIS』によると、オーストラリアとニュージーランドでウクライナ大使を務めるヴァシル・ミロシュニチェンコ氏が先日全豪の主催側に対し、「ロシア・ベラルーシ人選手の出場禁止」を要請したという。
また同氏は現時点で全豪が侵攻国出身のプレーヤーの参戦を認めていることに対して「彼ら(大会運営側)の対応は無節操だ」と批判し、同大会のトーナメントディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏との会談を求めたいとも述べていた。
だがオーストラリア・テニス連盟は「ロシアによるウクライナへのいわれのない侵攻を非難する立場は他の団体と一致している」としながらも、ITF(国際テニス連盟)、WTA(女子テニス協会)、ATP(男子プロテニス協会)が定める“全ての国の選手を平等に大会に参加させる基本原則”に則る形で、ミロシュニチェンコ氏の要請を却下した。
そして同連盟はこのほど豪ニュースメディア『The Age』を通じて公表した声明文で、改めてロシア・ベラルーシ人選手の全豪出場を許可すると発表。これについては以下のようなコメントを残している。
「現状ロシアとベラルーシの選手は個人として、そして国旗や国名を使用しない中立の立場でテニスの国際大会に出場することができますが、2023年の全豪オープンもそうなる予定です」
一連の報道を受け、現在開催中の男子テニスツアー「アデレード国際1」(オーストラリア・アデレード/ハードコート/ATP250)のシングルスベスト8に進出したロシア国籍のダニール・メドベージェフ(世界ランク7位)が、2回戦後の会見で母国のウクライナ侵攻をめぐるテニス界の現状に言及。
「平和のためなら何でもするつもりだ」と切り出した26歳は、出場できる大会が限られている中で全力を尽くす意志を示した。
「ウインブルドンから追放された時、僕はプレーできなかった。僕はテニスプレーヤーだから、出場できる全ての大会で喜んでプレーしている。ファンのためにプレーする姿を見せることができるのは幸せなこと。それが自分にできる唯一のことだ」
全豪開幕後も侵攻国出身の選手への反発が起こる可能性は否定できないが、とにかく全プレーヤーがベストを尽くせるよう願うしかない。
文●中村光佑
【PHOTO】準優勝したメドベージェフをはじめ、全豪オープン2022で活躍した男子選手の厳選ショット!
テニス系海外メディア『UBITENNIS』によると、オーストラリアとニュージーランドでウクライナ大使を務めるヴァシル・ミロシュニチェンコ氏が先日全豪の主催側に対し、「ロシア・ベラルーシ人選手の出場禁止」を要請したという。
また同氏は現時点で全豪が侵攻国出身のプレーヤーの参戦を認めていることに対して「彼ら(大会運営側)の対応は無節操だ」と批判し、同大会のトーナメントディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏との会談を求めたいとも述べていた。
だがオーストラリア・テニス連盟は「ロシアによるウクライナへのいわれのない侵攻を非難する立場は他の団体と一致している」としながらも、ITF(国際テニス連盟)、WTA(女子テニス協会)、ATP(男子プロテニス協会)が定める“全ての国の選手を平等に大会に参加させる基本原則”に則る形で、ミロシュニチェンコ氏の要請を却下した。
そして同連盟はこのほど豪ニュースメディア『The Age』を通じて公表した声明文で、改めてロシア・ベラルーシ人選手の全豪出場を許可すると発表。これについては以下のようなコメントを残している。
「現状ロシアとベラルーシの選手は個人として、そして国旗や国名を使用しない中立の立場でテニスの国際大会に出場することができますが、2023年の全豪オープンもそうなる予定です」
一連の報道を受け、現在開催中の男子テニスツアー「アデレード国際1」(オーストラリア・アデレード/ハードコート/ATP250)のシングルスベスト8に進出したロシア国籍のダニール・メドベージェフ(世界ランク7位)が、2回戦後の会見で母国のウクライナ侵攻をめぐるテニス界の現状に言及。
「平和のためなら何でもするつもりだ」と切り出した26歳は、出場できる大会が限られている中で全力を尽くす意志を示した。
「ウインブルドンから追放された時、僕はプレーできなかった。僕はテニスプレーヤーだから、出場できる全ての大会で喜んでプレーしている。ファンのためにプレーする姿を見せることができるのは幸せなこと。それが自分にできる唯一のことだ」
全豪開幕後も侵攻国出身の選手への反発が起こる可能性は否定できないが、とにかく全プレーヤーがベストを尽くせるよう願うしかない。
文●中村光佑
【PHOTO】準優勝したメドベージェフをはじめ、全豪オープン2022で活躍した男子選手の厳選ショット!