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海外テニス

全豪オープン予選、日比野菜緒と綿貫陽介がマッチポイントに追い込まれてからの逆転勝利で決勝進出!<SMASH>

内田暁

2023.01.12

相手にマッチポイントを握られながらも「やることは一つ」と集中を切らさず勝利をもぎ取った日比野。写真:内田暁

相手にマッチポイントを握られながらも「やることは一つ」と集中を切らさず勝利をもぎ取った日比野。写真:内田暁

 勝負は下駄を履くまでわからない——。

 言うは易いが行なうは難いこの慣用句を、日本の2選手が、コート上で体現してみせた。

 一人は、日比野菜緒。もう一人は、綿貫陽介。全豪オープン予選2回戦で、両選手はいずれも2本のマッチポイントをしのぎ、薄氷を踏む勝利を奪取。1月12日に行なわれる予選決勝へと歩みを進めた。

 予選1回戦でも大接戦を勝ち抜いた日比野の2回戦は、彼女の優勢で進むかに見えた。立ち上がりのゲームをブレークすると、主導権を掌握し4ゲーム連取。27分で第1セットを取った時、実績と経験に勝る日比野が、そのまま押し切るかに思われた。

 だが第2セットに入ると、相手のプレーの精度が上がる。恐れなくフォアで攻めるミリアム・ビヨルクルンド(スウェーデン)が、第9ゲームをブレークし第2セットを奪った。

 そうしてもつれ込んだ、最終セット。並走状態のゲームカウント4-4から、ビヨルクルンドがブレークで抜け出す。第2セットを再生するかのような展開の末に、日比野はマッチポイントに追い込まれた。

 後がないこの局面で、日比野は渾身のリターンウイナーを叩き込む。2本目のマッチポイントでは、相手の好サービスをスライスで的確に返しミスを誘った。
 
 かくして剣が峰で踏ん張った日比野が、このゲームをブレーク。ところが続くサービスゲームでブレークを許し、引き寄せた流れを手放したかに見えた。それでも続くゲームで日比野は、攻撃的なリターンを連発しラブゲームでブレークする。

 再びつかんだ勝利の女神の後ろ髪を、もう離すことはない。10ポイントタイブレークでは、序盤で6ポイント連取。勝利の瞬間こぼれたのは、歓喜の叫びではなく、安堵のため息だった。

「2試合連続の10ポイントタイブレーク。いっぱい、いっぱいで、喜ぶどころではなくて」
 
 そう言い浮かべる苦笑い。「気持ちのアップダウンが大きかった」と振り返り、「オフシーズンは年齢との戦いだった。以前はできたことができない自分を責めていた」とも述懐した。

 それでも「コートに入れば、やることは一つ」と、シーズンが始まり吹っ切れた様子。勝負強さを発揮しつつ、4大会連続となる全豪オープン本戦出場を目指す。
 
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