海外テニス

全豪主催者による“ジョコビッチ妨害禁止令”に元世界3位ワウリンカが「やりたいようにやるべき」と反論<SMASH>

中村光佑

2023.01.13

入国騒動をめぐるジョコビッチ(左)への批判噴出を恐れた主催者側の措置に懐疑的なワウリンカ(右)。(C)Getty Images

 間もなく開幕を迎える年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」(1月16日~29日/オーストラリア・メルボルン/ハードコート)。

 同大会には昨年1月のオーストラリア入国問題で国外退去を余儀なくされ、「3年間の入国禁止」を通告されていた元世界王者のノバク・ジョコビッチ(セルビア/現世界ランキング5位)も出場予定だ。オーストラリア国内の規定変更により新型コロナウイルス・ワクチンの接種要件が撤廃され、彼に課されていた入国禁止措置も解除されたためである。

 12月末に無事オーストラリアに到着したジョコビッチは、年明けに開催された「アデレード国際1」(オーストラリア・アデレード/ハードコート/ATP250)に参戦。初戦から素晴らしいパフォーマンスを見せて勝ち進み、決勝では3時間を超える大接戦の末にセバスチャン・コルダ(アメリカ/同31位)を逆転で撃破。キャリア通算92度目となるツアー優勝を果たした。

 会場のあるアデレードでは、現地ファンからの熱烈な歓迎を受けたジョコビッチ。だが2年ぶりの出場となる今年の全豪でも同じように温かく迎え入れられるとは限らない。というのも世界規模の騒動となったオーストラリア入国問題はメルボルンでも強い反発を招いたからだ。
 
 こうした事実を踏まえ、同大会のトーナメントディレクターを務めるクレイグ・タイリー氏は先日、豪メディア『Helard Sun』のインタビューで会場を訪れる予定のファンへ向けてジョコビッチを妨害する行為を禁止すると発表。「他の誰かの楽しみを妨害する人は即退場させる。そういった人たちを会場には入れたくない」とのコメントを残した。

 だが、2014年の全豪でグランドスラム初優勝を飾った男子元世界3位のスタン・ワウリンカ(スイス/同139位)は、このタイリー氏の発表に反対意見を述べている。

 テニス系海外メディア『UBITENNIS』によると、同選手は「彼ら(ファン)はやりたいようにやることが許されるべきだと思う。彼らは毎年そういう風に行動している。それがテニスというもので、それがスポーツだ」と発言。特に制限を課さなくとも、スポーツ界のスーパースターであるジョコビッチに危害を加える者はいないのではないかと説明した。

「昨年のノバクの件(入国問題)は多くのミスがあったと思うが、彼ら(観客)はノバクに対してブーイングをしないと信じている。彼らはノバクに会えてうれしいだろうし、素晴らしい大会になるだろう」

 ワウリンカの言葉通り大会が大きな問題なく進行することを願いたいところだ。ジョコビッチに限らず全選手がプレーしやすいよう、会場のファンが良い雰囲気をつくり上げることも大事だろう。

文●中村光佑

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