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「僕には勝利が必要だったんだ」ナダルがタフな全豪オープン1回戦に勝利「完璧な試合にならないことはわかっていた」<SMASH>

中村光佑

2023.01.17

今季初白星を挙げたナダル。強靭なメンタルでタフな試合を勝ち抜いた。(C)Getty Images

 不振にあえいでいた鉄人がタイトル防衛への一歩を踏み出した。

 いよいよ開幕を迎えた年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」は大会初日の現地1月16日に男子シングルス1回戦が行なわれ、センターコート第3試合にディフェンディングチャンピオンのラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク2位)が登場。ジャック・ドレイパー(イギリス/同38位)を7-5、2-6、6-4、6-1で破り、同大会7年連続17度目となる初戦突破を果たした。

 36歳にして第一線で輝き続けるナダルはここにきて苦境に立たされている。昨年9月の全米オープン4回戦敗退を皮切りに黒星を重ねており、新シーズン初戦として出場した男女混合の国別対抗戦「ユナイテッドカップ」でもシングルスで2連敗。直近7試合では1勝6敗となっている。

 ユナイテッドカップの記者会見では「あまり心配はしていない」と前向きに語っていたナダルだが、ここ最近は慢性的なフィジカルの問題に悩まされていることもあり、全豪でのタイトル死守に向けても不安は募るばかりだった。

 そんな中で迎えたドレイパーとの初戦は、序盤から両者一歩も譲らない展開に。最終第12ゲームでワンチャンスをものにしたナダルが、21歳の新鋭を相手に1セットアップとする。

 しかし第2セットでは、ドレイパーの粘りのディフェンスと深く突き刺さるカウンターショットに大苦戦。徐々にアンフォーストエラーでポイントを失う場面が増え、第1・第3ゲームでブレークを献上。反撃の糸口をつかめずに1セットオールに持ち込まれる。

 それでも持ち前の強靭なメンタルで2度のブレークを奪って第3セットを取得すると、続く第4セットでも攻撃の手を緩めず、第2ゲームから6ゲームを連取して勝負あり。3時間41分にも及ぶ熱戦をものにした。
 
 ようやく今季初白星を挙げた36歳のレジェンドは試合後に応じたATP(男子プロテニス協会)のインタビューで勝利に飢えていたことを明かすとともに、「最もタフな初戦のひとつ」と称した厳しい試合を勝ち切れた喜びを語った。

「僕には勝利が必要だったんだ、今日の試合で一番大事だったのはタフな相手に勝つということだった。完璧な試合にならないことはわかっていたし、実際今日の試合は完璧ではなかった。それでもジャック(ドレイパー)に勝つためには、うまくやらなければならなかった。この勝利で、明日以降もプレーするチャンスができたから、満足しているよ」

 またナダルは試合に勝つことこそが自信の種になるとコメント。「僕は挑戦する準備ができているし、そのために戦い続ける準備はできている。そのうえで勝利は助けになる。そのことに嘘はつけないよ。試合に勝てば、もっとリラックスできる。より自信を持つことができる。こういったタフな瞬間に耐えられるチャンスも増えてくる」とポジティブな言葉でインタビューを締めくくった。

 2回戦では世界65位のマッケンジー・マクドナルド(アメリカ)と対戦するナダル。ここから徐々に調子を上げていけるか注目だ。

文●中村光佑

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