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海外テニス

初陣の綿貫陽介、シードの西岡良仁、転換期のダニエル太郎、3人が明かした全豪オープン1回戦勝利の過程<SMASH>

内田暁

2023.01.17

全豪オープン大会初日に登場した綿貫陽介(左)、西岡良仁(中)、ダニエル太郎(右)の3選手がそろって初戦を勝ち抜いた。(C)Getty Images

全豪オープン大会初日に登場した綿貫陽介(左)、西岡良仁(中)、ダニエル太郎(右)の3選手がそろって初戦を勝ち抜いた。(C)Getty Images

「予選より人も多いし、相手の応援も、僕の応援も多い。グランドスラムって感じになったな」

 初のグランドスラム本戦のコートに立った時、綿貫陽介は、そう感じていたという。

 3日前―予選決勝を勝ち上がった時は、感極まって涙を流した。

「きっと初戦は緊張すると思うんですが」

 本戦のコートに立つ自分を想像し、そんな初々しい予感も抱いていた。

 実際に本戦のコートに立った時は、「やっぱり緊張はあった」という。それでもコートサイドから見る観客は、綿貫の硬さを感じることは無かっただろう。

「自分より強い選手ばかりなので、ワクワクの方が勝っている」

 そんな適度な高揚感が、プレーする綿貫の姿から溢れていた。

 高いスプリットステップから、200キロを超えるアーサー・リンダークネッシュのサービスに飛びつき、「強化してきた」というフォアのリターンを叩き込む。

 立ち上がり早々にブレークに成功すると、自身のサービスゲームを危なげなくキープ。ラリー戦になれば、時に相手と力比べをするかのように真っ向打ち合い、フォアのクロスで押し切った。
 
 セカンドセットに入るとさらに余裕が生まれたか、サーブ&ボレーやドロップショットなど、豊富な手持ちのカードを披露。

 サービスもコースや球種を散らし、相手に的を絞らせない。マッチポイントでは、自ら「さあ、一本!」と叫んで気合いを入れた。

 最後は、コーナーに叩き込んだ197キロのサービスが、相手のラケットを弾く。

 試合時間1時間43分、6-3、6-3、6-2の完勝。客席に深々と頭を下げる勝者は、ファミリーボックスには力強く拳を掲げた。

 試合後の会見の席。

 今の率直な気持ちは―? そう問われた綿貫は、「この部屋、寒いっすね⁉」と応じ、報道陣の笑いを誘う(実際に会見室は冷房が過剰なまでに効いている)。

「予選を勝ち上がった時はうれしかったけれど、本戦が始まると、ゴールは決勝に行って優勝するこという風に頭が切り替わっています」

 3日前に涙した“予選参戦者”は姿を消し、頂点を目指す本戦プレーヤーがそこにいた。
 
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