海外テニス

全豪準々決勝をケガで途中棄権したコルダ。「ほとんどラケットが握れなかった」と手首の状態を明かす<SMASH>

中村光佑

2023.01.25

初めて臨んだグランドスラム準々決勝だったが、コルダ(左)は手首を痛めて無念の棄権。ハチャノフ(右)にいたわりの言葉をかけられる。(C)Getty Images

 いよいよ佳境を迎えているテニス四大大会「全豪オープン」は現地1月24日に男子シングルス準々決勝が行なわれ、第29シードのセバスチャン・コルダ(アメリカ/世界ランク31位)と第18シードのカレン・ハチャノフ(ロシア/同20位)が対戦。コルダが6-7(5)、3-6、0-3とリードされた時点で右手首の負傷を理由に途中棄権を申し入れ、同大会初のベスト4入りを逃した。

 前哨戦のアデレード国際1(ATP250)で準優勝を収め、新シーズン開幕から好調を維持している22歳のコルダ。今大会でも2回戦で予選勝者の綿貫陽介(138位)を破ると、3回戦では昨年準優勝のダニール・メドベージェフ(ロシア/8位)をストレートで撃破。4回戦では第10シードのフベルト・フルカチュ(ポーランド/11位)をフルセットで下し、自身初の四大大会シングルスベスト8進出を果たしていた。

 ところがこの日のハチャノフとの準々決勝では、これまでとは打って変わってフォアハンドで簡単なミスを連発。序盤の第2ゲームでブレークを先行される苦しい展開となる。ハチャノフのサービング・フォー・ザ・セットとなった第9ゲームで起死回生のブレークバックに成功するも、タイブレークでは1ミニブレークを献上して第1セットを落とす。

 その直後に右手首の痛みを訴えたコルダは、第2セット開始直前にメディカルタイムアウトを要求。応急処置を経てプレーを続行したものの、思うようなパフォーマンスができないまま2度のブレークを許し、2セットダウンと絶体絶命の状況に立たされる。

 迎えた第3セット、右手首の痛みに耐えながらプレーを続けようとしたコルダだったが、第1ゲームから3ゲームを連取されたところで途中棄権を表明。1時間50分で準々決勝敗退となった。
 
 試合後の会見に出席したコルダは、今回負った手首のケガについてこう説明している。

「試合中に痛くなった。実はアデレードでも手首に問題があったが、それはすぐに治まったし、メルボルンに来てからも特に問題はなかった。ただ、今日の試合の第2セット冒頭で誤ったリターンの打ち方をしてしまって、その後から痛みがかなり気になった。ショットを打つ時に、ほとんどラケットが握れない状態になっていた。ボレーもほぼできなかった」

 それでも「ネガティブなことよりも、ポジティブなことの方がずっと多かった」と満足気に今大会を総括した22歳のニュースターは、以下のように前向きなコメントで会見を締めくくった。

「今回は僕にとって素晴らしい大会だった。グランドスラムで初めてベスト8に残れた。これからも気を引き締めて、頑張っていきたいと思う。今は自信があるし、ここのところはビッグマッチにも勝てている。今回起きたことは、僕にとって大きな教訓になると思うし、これからも自分を誇りに思うだろうね。近い将来、僕は本当に大きなことを成し遂げられると思っている」

 非常に残念な形で大会を去ることになってしまったが、今回の全豪でコルダが見せた抜群のテニスセンスは多くのファンを魅了したはずだ。とにかく今はケガが悪化しないよう手首の治療に専念してもらいたい。

文●中村光佑

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