海外テニス

ジョコビッチの父親が全豪オープン会場内でプーチン大統領旗を掲げる過激集団と「ロシア万歳!」<SMASH>

中村光佑

2023.01.27

ジョコビッチの父親スルジャン氏(写真右)の軽率ともいえる行動がメディアで取り上げられ波紋を広げている。(C)Getty Images

 いよいよ佳境を迎えているテニス四大大会「全豪オープン」でテニスの元世界王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア/現世界ランク5位)の父親スルジャン・ジョコビッチ氏の"ある行動"が物議を醸している。

 事の発端は現地1月25日に行なわれたジョコビッチとアンドレイ・ルブレフ(ロシア/6位)による男子シングルス準々決勝が終了した直後のことだった。

 昨年2月末に始まったロシアのウクライナ侵攻の収束が依然として見込めない中、息子の勝利をセンターコートの客席で見届けたスルジャン氏が、会場の外でロシアを支持するデモ隊とポーズを取りながら動画を撮影した際の画像がSNS上で拡散されたのだ。

 スペインのテニス専門メディア『Punto de Break』が公開した画像を見てみると、そこにはウクライナ侵攻のプロパガンダ(宣伝活動)で用いられる「Z」のマークが入ったシャツを着た1人の男が、ウラジーミル・プーチン大統領の顔が描かれたロシア国旗を掲げており、その隣にスルジャン氏の姿が収められている。

 なお、オーストラリアメディア『news.com』によると、スルジャン氏はデモ参加者に交じって「ロシア万歳!」と叫んでいたという。
 
 程なくして全豪を主催するオーストラリアテニス連盟は公式声明を通じて「水曜日(25日)の夜の試合後、少人数のグループが会場で不適切な旗やシンボルを掲げ、警備員を脅迫しました。警察は4人の男性の身柄を拘束しています」と発表。

「ビクトリア警察が介入し、彼ら(4人の男性)に尋問を続けています。すべての人の快適さと安全が私たちの優先事項であり、私たちはセキュリティと当局と緊密に協力しています。選手とそのチームも、旗やシンボルに関するイベントの方針について説明を受け、混乱を招く可能性のあるいかなる状況も避けるよう注意喚起されました」とのコメントも残している。

 既報の通り、先日オーストラリアとニュージーランドでウクライナ大使を務めるバシル・ミロシュニチェンコ氏が、自身のSNSで今回の全豪におけるロシア及びベラルーシの国旗の持ち込み禁止を要請したことを受け、オーストラリアテニス連盟は現地1月17日に「ロシアとベラルーシの国旗を観客席に持ち込むことを禁止する」と正式に発表していた。

 同様にZマークについても大会側から規制がかけられていたが、ジョコビッチとルブレフの試合中には客席の最前列である1人の観客がZマークのシャツを着て観戦する姿が目撃されている。ただし、その観客が今回拘束された4人の男性のうちの1人であるのかは明らかになっておらず、スルジャン氏と動画を撮影した男と同一人物であるのかもわかっていない。

 テニスを含めスポーツ界に多大な影響を与えているロシアのウクライナ侵攻。とにかく今はこれ以上騒動が起きないことを願うしかない。

文●中村光佑

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【動画】プーチン旗を掲げる集団とジョコビッチの父親を報じるニュース映像