海外テニス

サービス改良中の女王シフィオンテク、カタール2回戦快勝に「とても心地よく打てた」と手応え<SMASH>

内田暁

2023.02.17

サービスを打ってからの展開を得意とするシフィオンテクだが、現在はサービスのブラッシュアップに取り組んでいる。(C)Getty Images

「あなたのサービスは、メディアから過小評価されていると感じませんか?」

 自戒も込めてそう尋ねると、世界1位のイガ・シフィオンテクは小さく頷きながら笑みを浮かべ、「that's a good question(良い質問ね)」と含みある言い回しをした。

「過小評価されているとは言わないかな。単に私は、リバキナのようなタイプではないということ。サービスを入れて、そこからラリーでポイントを取るタイプだから。ただサービスは、常に改善したいと思っている点だし、実際に全豪オープン後に集中的に練習してきた」

 その後に続ける「今日の試合では、とても心地よく打てた」の言葉を待つまでもなく、彼女のサービスが好調だったのは、明らかだった。

 現在開催中の女子テニスツアー「カタール・オープン」(カタール・ドーハ/2月13日~18日/WTA500)の2回戦。ダニエラ・コリンズ相手に、6-0、6-1の完勝を手にした。僅か53分の攻防のなかで、与えたブレークポイントはなく、サービスでのポイント獲得率は72%を超える。リターン巧者に、まったくチャンスを与えなかった。

 カタール・オープンはシフィオンテクにとり、今に至る快進撃の始まりの地だ。昨年の同大会優勝を皮切りに、6大会連続優勝、37連勝という驚異の戦績を刻む。それは世界1位の地位と自信の源泉ではあるが、1年後には、"守るべきポイント"へと姿を変えた。

 ただ彼女は「ポイントを守るという考えた方はしたことがない」と明言する。
 
 それ以上に今の彼女にとって重要なのは、全豪オープン4回戦で敗れた事実と、その原因究明。「オーストラリアでの教訓を生かさなくては」と思った彼女が、至った結論は「自分に期待しすぎない、全ての試合で完璧を求めない」ということ。

「昨シーズンの出来事は、在りえないことだった。私の頭の中を、ちょっとおかしくしてしまうほどに」

 そう自嘲気味に笑う彼女が、全豪後に帰国し、練習に打ち込むなかでとりわけ力を入れたのが、サービスだった。

 その練習内容を、詳細に明かすことはもちろんない。それでも彼女は、次のように"ヒント"をくれた。

「大会中の練習はあくまで調整で、技術的なことに取り組む時間はない。だからワルシャワでは、気になっていた幾つかのポイントに取り組んだ。技術的に大きく変えた訳ではなく、全体として最も重視したのは、良いリズムで打てるようになること。試合では、どのコースに打つかしか考えられないけれど、練習では自分の動きをチェックしながら打っていた」

 その成果は、最初の試合で早くも発揮されたように見える。ただ長いシーズンを戦い抜くテニスでは、時々の結果に一喜一憂する訳にはいかないことを、彼女は誰よりも知っているのだろう。

「まだ結論付けるには早すぎる」と言う彼女は、チャーミングに笑い、こうも続けた。

「でも、こんな風にサービスできる試合がいくつか続けば、メディアの皆さんもいずれ、私のサービスにお墨付きを与えてくれるんじゃないかしら?」

現地取材・文●内田暁

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