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イタリアの重鎮に私生活を非難されたベレッティーニをキリオスが擁護「何を優先するかは彼の選択」<SMASH>

中村光佑

2023.02.19

確かに最近のベレッティーニ(左)は成績が上がらないが、レジェンドが私生活を批判したことにはキリオス(右)が黙っていなかった。(C)Getty Images

 1959年、60年の全仏選手権(全仏オープンの前身)で2連覇を果たし、イタリア人選手として初の四大大会覇者にもなった男子テニス界のレジェンド、ニコラ・ピエトランジェリ氏(89歳)が母国のスポーツメディア『Gazzetta dello Sport』のインタビューに登場。世界のトップで活躍を続ける同郷のマテオ・ベレッティーニ(26歳/現世界ランク23位)に対し、「テニスに集中できていない」と批判の言葉を述べた。

 2021年のウインブルドンで初のグランドスラム決勝へ進出し、全ての四大大会でベスト8以上に勝ち進んだ経験も持つベレッティーニ。ATPツアーでは通算7度の優勝を誇り、196センチの長身を生かした力強いテニスでファンを魅了し続けてきた。

 ところがここ最近は度重なるケガの影響から調子にムラが見られ、先月行なわれた年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」での1回戦負けをはじめ、出場大会での早期敗退も増加傾向にある。そんな中、プライベートでは先日サッカー元ガーナ代表のケビン=プリンス・ボアテング(35歳)の元妻であるイタリアの著名女性タレント、メリッサ・サッタさん(37歳)との交際が報じられ、海外メディアの間でもちょっとした話題となっていた。

 ちなみにベレッティーニとサッタさんは一緒に行動しているところを度々スクープされており、その時の様子を捉えた写真が母国の週刊誌『Chi』の表紙にも採用されたほどだ。過去に芸能界やスポーツ界の大物と数々の浮き名を流したことでも知られるスキャンダラスな人気セレブに関心を示し、テニス以外の活動も目立ち始めている26歳の俊才へ向け、ピエトランジェリ氏は以下のように喝を入れた。
 
「マテオはテニスよりもメディアやスポンサーの広告塔になることに力を注いでいるように見える。ローマでフェデラーを倒した後、二度と目立ったことをしなかった(同郷の)フィリッポ・ボランドリ(41歳/男子元25位)のようにはなってほしくないね。マテオはいい男で、少しアドリアーノ・パナッタ(72歳/男子元4位)を思い出させる。腰から上はとてもハンサムだが、脚が思うように動いていない」

 一方で同氏は同じイタリア人選手で21歳にして、すでに7つのツアータイトルを獲得している世界14位のヤニック・シナーには「私とは全く違うスタイルだが、現時点で最高のイタリア人プレーヤーだ」と賛辞を贈っている。だが歯に衣着せぬ物言いでおなじみのニック・キリオス(オーストラリア/19位)は、これらのピエトランジェリ氏の言葉に違和感を覚えたようだ。

 テニスジャーナリストのジョセ・モルガド氏が自身のツイッターで、今回のピエトランジェリ氏のコメントをまとめたイタリアメディア『La Republica』の記事を紹介したところ、それに対してキリオスがリプライを送信。次のようにベレッティーニを擁護した。

「何を優先するかは彼(ベレッティーニ)の選択だろう? 俺はそのように断言するよ。彼はオフコートでシナーよりも多くの金を稼いでいる。俺らのうちの一部の選手にとっては、お金が大事だ」

 とかくどのスポーツでもトップアスリートは少しでも成績が落ちると批判にさらされやすい。ベレッティーニが調子を取り戻し、周囲を見返すようなプレーを見せてくれることを期待したい。

文●中村光佑

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