男子テニスツアー「アルゼンチン・オープン」(2月13日~19日/アルゼンチン・ブエノスアイレス/クレーコート/ATP250)は現地2月19日にシングルス決勝が行なわれた。本大会で約3か月ぶりのカムバックを果たした前世界王者のカルロス・アルカラス(スペイン/現世界ランク2位)が登場。第2シードのキャメロン・ノーリー(イギリス/同12位)を6-3、7-5のストレートで下し、見事復帰戦で優勝を飾った。
昨年9月の全米オープンで悲願のグランドスラム初優勝を達成し、史上最年少での世界1位を記録したアルカラス。腹部のケガを理由に出場権を獲得していた同年11月のシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」の欠場を余儀なくされたものの、12月のエキジビションマッチには参戦するなど順調な回復ぶりを見せていた。
ところが、今度はオフ期間の練習中に右脚を痛めてしまい、先月に行なわれた年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」も大会開幕前に出場を辞退。年明けから始まったオーストラリアシーズンは、全ての大会でプレーすることができなかった。これにより全豪で大会10度目の優勝と史上最多タイの四大大会22勝目を飾ったノバク・ジョコビッチ(セルビア)に世界1位の座を明け渡した。
それでも休養期間中にしっかりと鍛錬を積んでいたアルカラスは、待望の復帰戦となった今回のブエノスアイレス大会で、ブランク明けとは思えない素晴らしいプレーを見せてスムーズに勝ち上がり、準決勝でも同郷のサパタ ミラレス(74位)をストレートで撃破。今季初タイトル獲得に王手をかけていた。
この日の決勝は序盤から拮抗した展開が続いた中で迎えた第6ゲーム、ノーリーが簡単なミスを重ねたことで手にしたブレークポイントをきっちりと物にし、そこから一気に4ゲームを連取して1セットアップ。勢いそのままに第2セットでも試合を優位に進め、第2ゲームで早々にブレークに成功する。
サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第9ゲームで痛恨のブレークバックを許すも、終始冷静にプレーを続けたアルカラスが最終第12ゲームで値千金のブレークを奪い、粘るノーリーを振り切った。
最高の形で復帰大会を締めくくった19歳のヤングスターは、試合後のオンコートインタビューで初めに試合内容を振り返り、「とても難しい試合になることはわかっていたが、最初から自分のやるべきことに集中していた。これこそが僕が決勝で見せなければならないレベルだ」とコメント。
最後にはツアーを離れていた数か月間を回顧しつつ、以下のように喜びをあらわにした。
「何か月もの間、僕は苦労してきた。コートの外では正しいことができなかったし、ケガをした後は少し罪悪感もあった。簡単なことではなかった。およそ3か月ぶりの大会で、全米以来となる優勝を手にしたことは、僕にとって本当に特別な瞬間だ。この決勝では、本当に気持ちよくプレーできたよ」
優勝の余韻も冷めやらぬ中、今週は休む間もなく「リオ・オープン」(2月20日~26日/ブラジル・リオデジャネイロ/クレーコート/ATP500)に出場予定のアルカラス。ケガの再発には十分注意しながら今後も更なる活躍を見せてほしい。
文●中村光佑
【PHOTO】史上最年少の1位となった19歳アルカラスの全米オープン2022優勝までの激闘の記録
昨年9月の全米オープンで悲願のグランドスラム初優勝を達成し、史上最年少での世界1位を記録したアルカラス。腹部のケガを理由に出場権を獲得していた同年11月のシーズン最終戦「Nitto ATP ファイナルズ」の欠場を余儀なくされたものの、12月のエキジビションマッチには参戦するなど順調な回復ぶりを見せていた。
ところが、今度はオフ期間の練習中に右脚を痛めてしまい、先月に行なわれた年内最初のテニス四大大会「全豪オープン」も大会開幕前に出場を辞退。年明けから始まったオーストラリアシーズンは、全ての大会でプレーすることができなかった。これにより全豪で大会10度目の優勝と史上最多タイの四大大会22勝目を飾ったノバク・ジョコビッチ(セルビア)に世界1位の座を明け渡した。
それでも休養期間中にしっかりと鍛錬を積んでいたアルカラスは、待望の復帰戦となった今回のブエノスアイレス大会で、ブランク明けとは思えない素晴らしいプレーを見せてスムーズに勝ち上がり、準決勝でも同郷のサパタ ミラレス(74位)をストレートで撃破。今季初タイトル獲得に王手をかけていた。
この日の決勝は序盤から拮抗した展開が続いた中で迎えた第6ゲーム、ノーリーが簡単なミスを重ねたことで手にしたブレークポイントをきっちりと物にし、そこから一気に4ゲームを連取して1セットアップ。勢いそのままに第2セットでも試合を優位に進め、第2ゲームで早々にブレークに成功する。
サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第9ゲームで痛恨のブレークバックを許すも、終始冷静にプレーを続けたアルカラスが最終第12ゲームで値千金のブレークを奪い、粘るノーリーを振り切った。
最高の形で復帰大会を締めくくった19歳のヤングスターは、試合後のオンコートインタビューで初めに試合内容を振り返り、「とても難しい試合になることはわかっていたが、最初から自分のやるべきことに集中していた。これこそが僕が決勝で見せなければならないレベルだ」とコメント。
最後にはツアーを離れていた数か月間を回顧しつつ、以下のように喜びをあらわにした。
「何か月もの間、僕は苦労してきた。コートの外では正しいことができなかったし、ケガをした後は少し罪悪感もあった。簡単なことではなかった。およそ3か月ぶりの大会で、全米以来となる優勝を手にしたことは、僕にとって本当に特別な瞬間だ。この決勝では、本当に気持ちよくプレーできたよ」
優勝の余韻も冷めやらぬ中、今週は休む間もなく「リオ・オープン」(2月20日~26日/ブラジル・リオデジャネイロ/クレーコート/ATP500)に出場予定のアルカラス。ケガの再発には十分注意しながら今後も更なる活躍を見せてほしい。
文●中村光佑
【PHOTO】史上最年少の1位となった19歳アルカラスの全米オープン2022優勝までの激闘の記録