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海外テニス

「自分に完璧を求めない」女王シフィオンテクが年頭のつまずきから立ち直るために行なった心のリセット<SMASH>

内田暁

2023.02.22

年明けから感じていた浮遊感を、シフィオンテクはサイコロジストと共に克服した。「自分に期待しすぎない」ことが鍵となった。(C)Getty Images

年明けから感じていた浮遊感を、シフィオンテクはサイコロジストと共に克服した。「自分に期待しすぎない」ことが鍵となった。(C)Getty Images

 先週行なわれた女子テニスツアーの「カタール・オープン」。優勝に至る行程で、コートに立った総時間は3時間に及ばず、落としたゲームはわずかに5。

 1回戦はシード免除、3回戦は相手が棄権し実質戦ったのは3試合のみとは言え、それでも際立った世界1位の強さである。しかも準決勝と決勝は、多くの選手が「初めて経験した」と言うほどの強風下での試合。日没後は急激に気温が下がり、吹きすさぶ風の冷たさに観客はダウンジャケットに身を埋めるなか、イガ・シフィオンテクはつむじ風を巻き起こして、頂点へと駆け上がった。

 今大会が始まる前、彼女は全豪オープン後から現在までの“心の有り様”を、丁寧に言葉に紡いでいた。全豪を含む年始のオーストラリアスウィングは、彼女にとって、どこか浮遊感のある中で過ごした時間だったという。

 理由の一つは「ユナイテッドカップ」への参戦。これは今季から新設された、男女混合の国別対抗戦である。団体戦ゆえにチームメイトと行動を共にし、ベンチに入ればおのずと応援にも力が入る。結果、彼女は「自分でも気付かぬうちに、心身共に疲れてしまった」と述懐した。
 
 もう一つの浮遊感の理由は、「自分への高すぎる期待」だという。

 昨年2月のカタール・オープンから始まった6大会連続優勝、37連勝の疾走の衝撃は、彼女の理性や論理的思考の歯車を、小さく狂わせていた。

「だから帰国してからは、何がうまくいかなかったか考えた」という彼女は、スポーツサイコロジストのダリア・アブラモビッチと共に、解決策を模索する。

 その末に彼女が見つけた答えが、「自分に期待しすぎない。完璧ではない自分を受け入れる」ことだった。

 WTA500グレードのカタール・オープンは、この週に開催される唯一のWTAツアー大会である。ゆえに上位選手が全て集い、全豪オープン準優勝者のエレーナ・ルバキナや、ベスト4のビクトリア・アザレンカすら本戦入りできない驚異のハイレベルを誇った(アザレンカは主催者推薦枠で出場)。
 
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