昨年9月の全米オープンで悲願のグランドスラム(四大大会)初優勝を果たし、同時に男子テニス史上最年少での世界ランク1位を記録した19歳のカルロス・アルカラス(スペイン/現2位)。度重なるケガにより昨年11月から約3カ月にわたるツアー離脱を強いられたものの、待望の復帰戦となった先週開催の「アルゼンチン・オープン」(アルゼンチン・ブエノスアイレス/クレーコート/ATP250)では見事優勝を飾り、今後のさらなる飛躍に期待が高まっている。
凄まじい勢いで成長を続けるニューヒーローを2019年から指導する元世界1位のフアン・カルロス・フェレーロ氏も数カ月間ケガと戦ってきた愛弟子のカムバックにこの上ない喜びを感じているようだ。このほど応じたスペインのラジオ番組『RTVE』のインタビューで同氏はアルカラスの復帰について次のようにコメントした。
「ケガと戦ってきて、1年のスタートで優勝することは、誰にとってもうれしいことであり、安堵感さえある。それは彼(アルカラス)がただ勝つだけでなく、肉体的にもまた競技にうまく対応できるようになったということだ。とてもうれしいことだし、あとは先週の大会で見せたようないい試合を続けていくだけだ」
ただ当のアルカラスはアルゼンチン・オープンの優勝後に回答したオンコートインタビューで「何カ月も僕は苦労してきたし、コートの外では正しいことができなかった」ともどかしさを抱えながらツアー復帰を目指していたことを告白していた。
このコメントについてフェレーロ氏は「もし彼がそのように言ったのなら、それが本当に彼の身に起こったことだからだ」としたうえで、「若くして世界のトップに立ったという事実」がプレッシャーに変わり、「それが大きく影響していた」と自身の見解を提示した。
長年テニス界を牽引してきたロジャー・フェデラー(スイス/41歳/引退)、ラファエル・ナダル(スペイン/6位)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/1位)の「ビッグ3」のようなトッププレーヤーのレベルに近づくための努力を重ねてきたが故の悩みがアルカラスにはあったとして、フェレーロ氏はこう続けた。
「彼は、ラファやロジャー、ノバクといった選手を鏡のようにお手本にして、誰も達成していないことを達成するという目標のために戦い続けなければならない」。カルロスは、そういうプレーヤーたちと自分を比べるとまだまだだとは思うが、大会の目標という点では、彼は最大限まで高みを望むことができる。彼は、目新しいことや精神面での影響に少しばかり代償を払い、オフコートでもトレーニングに関して少々“混乱した”数カ月を過ごしてきた」
それでも最後に同氏は苦しい経験を味わったことが必ずや愛弟子のさらなる進化につながると断言。「こうした経験は彼にとってとてもいいことだ。彼がより成熟し、様々な角度から物事を見ることができるようになるだろう。そのおかげで、彼はさらに成長し続けることができるのだと思う」と締めくくった。
なお現在開催中の「リオ・オープン」(2月20日~26日/ブラジル・リオデジャネイロ/クレーコート/ATP500)にディフェンディングチャンピオンとして参戦中のアルカラスは、現地2月21日に実施されたシングルス1回戦でマウテス・アウベス(ブラジル)に6-4、6-4のストレートで勝利し、2回戦に駒を進めている。
文●中村光佑
【画像】史上最年少の1位となった19歳アルカラスの全米オープン2022優勝までの激闘の記録
凄まじい勢いで成長を続けるニューヒーローを2019年から指導する元世界1位のフアン・カルロス・フェレーロ氏も数カ月間ケガと戦ってきた愛弟子のカムバックにこの上ない喜びを感じているようだ。このほど応じたスペインのラジオ番組『RTVE』のインタビューで同氏はアルカラスの復帰について次のようにコメントした。
「ケガと戦ってきて、1年のスタートで優勝することは、誰にとってもうれしいことであり、安堵感さえある。それは彼(アルカラス)がただ勝つだけでなく、肉体的にもまた競技にうまく対応できるようになったということだ。とてもうれしいことだし、あとは先週の大会で見せたようないい試合を続けていくだけだ」
ただ当のアルカラスはアルゼンチン・オープンの優勝後に回答したオンコートインタビューで「何カ月も僕は苦労してきたし、コートの外では正しいことができなかった」ともどかしさを抱えながらツアー復帰を目指していたことを告白していた。
このコメントについてフェレーロ氏は「もし彼がそのように言ったのなら、それが本当に彼の身に起こったことだからだ」としたうえで、「若くして世界のトップに立ったという事実」がプレッシャーに変わり、「それが大きく影響していた」と自身の見解を提示した。
長年テニス界を牽引してきたロジャー・フェデラー(スイス/41歳/引退)、ラファエル・ナダル(スペイン/6位)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/1位)の「ビッグ3」のようなトッププレーヤーのレベルに近づくための努力を重ねてきたが故の悩みがアルカラスにはあったとして、フェレーロ氏はこう続けた。
「彼は、ラファやロジャー、ノバクといった選手を鏡のようにお手本にして、誰も達成していないことを達成するという目標のために戦い続けなければならない」。カルロスは、そういうプレーヤーたちと自分を比べるとまだまだだとは思うが、大会の目標という点では、彼は最大限まで高みを望むことができる。彼は、目新しいことや精神面での影響に少しばかり代償を払い、オフコートでもトレーニングに関して少々“混乱した”数カ月を過ごしてきた」
それでも最後に同氏は苦しい経験を味わったことが必ずや愛弟子のさらなる進化につながると断言。「こうした経験は彼にとってとてもいいことだ。彼がより成熟し、様々な角度から物事を見ることができるようになるだろう。そのおかげで、彼はさらに成長し続けることができるのだと思う」と締めくくった。
なお現在開催中の「リオ・オープン」(2月20日~26日/ブラジル・リオデジャネイロ/クレーコート/ATP500)にディフェンディングチャンピオンとして参戦中のアルカラスは、現地2月21日に実施されたシングルス1回戦でマウテス・アウベス(ブラジル)に6-4、6-4のストレートで勝利し、2回戦に駒を進めている。
文●中村光佑
【画像】史上最年少の1位となった19歳アルカラスの全米オープン2022優勝までの激闘の記録