海外テニス

【伊達公子】遠征中の宿泊先の選択肢が増えている。簡単に洗濯ができるのは魅力<SMASH>

伊達公子

2023.03.17

盗難に遭ったことはないが、カードをスキミングされたことはあると言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 テニス選手にとっての日常である海外遠征の生活とは、どんなものか。前回まで移動と食事について紹介してきたので、今回は宿泊について。

 私のセカンドキャリア後半からは、オフィシャルホテルではなく、民泊を活用している選手が増えていました。スペースが広くなるので、リラックスしやすいですし、なんといっても苦労なく洗濯ができるというのが魅力です。

 ウェアは6~8枚ぐらい持って行きますが、汗もかきますし、可能なら毎日洗濯したいのが本音です。大会によってはランドリーサービスがあり、例えば私の現役時代、全豪オープンでは1袋が無料で、2袋目からは料金が発生していました。

 ランドリーサービスがない場合は、コインランドリーに行くしかありません。アメリカだとホテルについていることが多いので助かりますが、ホテルにない場合は外まで行く必要があります。ホテル内にあったとしても、練習や試合で疲れている状態で、空くのを待ったり時間になって乾燥機に入れに行ったりするのは、本当に手間のかかることです。だから、洗濯が簡単にできるのは助かります。

 金額的にも、オフィシャルホテルでは選手は無料で泊まれるものの、コーチの部屋は多少安くはしてもらえますが有料です。そのためトータルで考えると、民泊のシステムでうまく探せば安くなる可能性はあります。
 
 ただし、オフィシャルホテルと違い、基本的には迎えの車が来てくれませんから、自分で大会がピックアップしてくれる場所まで行かなくてはいけません。宿を探す時は、その場所まで行きやすいか、食材を買えるお店が近くにあるかは、十分に調べてから決めていました。

 民泊の方が良いように聞こえるかもしれませんが、私がファーストキャリアの時だったらオフィシャルホテルを選んでいたと思います。気持ち的にもピリピリしていたましたし、自分だけのスペースが必要でした。選手の状況や性格によって、希望スタイルは変わってくると思います。

 最後に、海外に行くと心配なのが、盗難ではないでしょうか。私はホテルでも飛行機でもほとんど物がなくなったことはありません。ただ、1度コロンビアのオフィシャルホテルに泊まっている時にスキミングされたことがありました。

 外はとにかく危険ということでオフィシャルホテルだからと信じて、敢えてカードを部屋に置いて食事に行きました。その間にスキミングされて、カード会社から「スーパーで8万円、ファストフード店で2万5千円使っていますか?」と連絡が来て発覚したんです。同じ時に、他の選手がハイブランドのバッグを盗まれる事件もあり、調査が入ってホテルのスタッフが犯人だとわかりました。

 大会のレベルが上がるとある程度の安全は保たれると思いますが、そうでない場合は、日本の感覚でいると痛い目をみることもあるかもしれません。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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