海外テニス

チェコの元名手ベルディフが母国の新星レヘチュカと練習。「フィジカルが強い」と絶賛する一方、コーチ就任は否定<SMASH>

中村光佑

2023.03.08

かつて強豪チェコを牽引したベルディフ氏(左)は、低迷する王国の救世主としてレヘチュカ(右)に期待する。実際に打ち合い、高い評価を与えた。(C)Getty Images

 2010年のウインブルドンで準優勝し、男子テニスツアーでも通算13度の優勝を誇る元世界ランク4位のトマシュ・ベルディフ氏(チェコ/2019年に引退/37歳)が、ATP(男子プロテニス協会)のインタビューに登場。同郷の期待の新星として注目を浴びている21歳のイリ・レヘチュカ(世界47位)に期待の言葉を送った。

 昨年1月の全豪オープンでグランドスラム(四大大会)本戦デビューを飾ったレヘチュカ。彼の名が知れ渡ったのは、当時世界137位で自身2度目のツアー本戦出場となった同年2月のロッテルダム大会(ATP500)でのことだった。

 1回戦で元トップ10プレーヤーのデニス・シャポバロフ(カナダ/大会時12位/現30位)をストレートで破る金星を挙げると、そこから怒涛の快進撃でベスト4へと進出。以降は好結果が出ない時期もあったが、11月に出場した21歳以下のシーズン最終戦「Next Gen ATPファイナルズ」では準優勝。そして今年1月の全豪では3人のシード選手を破る大活躍でグランドスラム初のベスト8入りを果たし、世界ランキングでもトップ50の壁を打ち破った。

 そんなチェコテニス界の逸材を「彼はとても若いが、試合に集中している時の姿が印象的だ」と評したベルディフ氏は、レヘチュカが21歳にしてすでに強靭なフィジカルを備えている点に言及し、以下のようにコメントした。

「彼はフィットネスがしっかりしている。つまり身体が丈夫だということだ。彼の場合はもっと筋肉が必要だとか、パワーがないとか、そういうことはない」
 
 実は先週の「ドバイ選手権」(ATP500)ではアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/現14位)に初戦敗退を喫したレヘチュカと、ベルディフ氏が試合前にコートでヒッティングを行なった際の映像がSNSで拡散され、ファンの間でも大きな反響を呼んでいた。

 また海外メディア『UBITENNIS』によると、そのズベレフとの試合ではベルディフ氏がコーチボックスからレヘチュカの戦況を見守ったという。こうした背景から各種海外メディアは将来的に同氏がレヘチュカのコーチを務める可能性があるのではないかと報じていた。

 だがそれについてベルディフ氏は「まだそのような約束はしていないし、その必要はないと思う」と否定。「彼のチームはとても優秀で強い。いい仕事をしている」と続けた。

 そして最後にベルディフ氏は、元世界8位のラデク・ステパネク氏(44歳)と自身の引退以降、数年間にわたって低調だったチェコ男子テニス界の誇るべき伝統を、レヘチュカが引き継いでくれることを期待していると語った。

「僕とステパネクの後、チェコの男子テニスは少し低迷していた時期があったけど、僕らは身を引いて、他の選手たちにステージを譲った。彼は間違いなく、旗を掲げて前進すべき選手だと思う。それが、僕がドバイに行った理由の一つでもある。個人的に近くで彼を見てみたかった。物事がどのように進んでいくかを見ていきたい。いいことがあると思う」

 ベルディフ氏がこれほど太鼓判を押すレヘチュカのさらなる活躍に期待したいところ。間もなく迎える春の米国シリーズでもどんなプレーを見せるのか注目だ。

文●中村光佑

【PHOTO】ベルディフ夫妻はじめ、テニス選手を支える美人妻&ラブラブカップル
 
NEXT
PAGE
【動画】ドバイ選手権でベルディフとレヘチュカがウォーミングアップする様子