3連続のマッチポイントを凌いだまさにその時、時計の針は深夜0時を指した。その後も2本のマッチポイントを切り抜けるも、ついに力尽きた時には、日付が変わってから11分が経過していた。
マイアミ・オープン、2回戦。これが男子テニス・マスターズ1000初挑戦の綿貫陽介(世界ランク123位)は、世界14位のフランシス・ティアフォー(アメリカ)に7-6(5)、6-7(3)、4-6で惜敗を喫する。
キックサーブで勝利を決めたその時、ティアフォーは夜空に向かって咆哮をあげ、敗者は帽子を脱ぎ軽く頭を振ると、淡々と握手のためにネット際へ歩みを進めた。
「今、自分の持っているものを120パーセント出さないと、勝機はない」
挑戦者のその決意は、試合開始直後から誰の目にも明らかだった。ベースラインから一歩も下がらず、ティアフォーの強打に身体ごと飛び込むように打ち返す。果敢にネットを取り、頭上を越えていくロブを追い、振り向きざまに全力で叩き込むフォアのクロスは、ティアフォーのラケットを弾いた。
均整の取れた身体をバネのようにしならせ、足を跳ね上げながら打ち込む強打は、相手のラケットに触れることなく後方のフェンスに達する。ペース配分などまるで頭にないかのようなチャレンジャーの猛攻に、ティフォーはラケットを投げ苛立ちを隠せぬ様子。
第1セットをタイブレークの末に取った綿貫が、第2セットの最初のゲームをもブレーク。試合の流れは、主導権は、間違いなく綿貫の手中にあった。
だが、気を張り詰め飛ばしに飛ばした綿貫の体力を、日が落ちても下がらぬ気温と、身体にまとわりつく高湿度の空気が奪っていく。「疲れはあったし、リードを奪ってちょっと気が抜けてしまったところがあった」と認める綿貫は、その数分間を強く悔いた。
「あそこで取らなくてはいけなかった」という第2セットをタイブレークの末に落とすと、第3セットの第1ゲームではブレークを許す。スコアラインは線対称のように反転し、客席には地元スター選手の勝利を確信したかのような、安堵にも似た空気が流れた。
マイアミ・オープン、2回戦。これが男子テニス・マスターズ1000初挑戦の綿貫陽介(世界ランク123位)は、世界14位のフランシス・ティアフォー(アメリカ)に7-6(5)、6-7(3)、4-6で惜敗を喫する。
キックサーブで勝利を決めたその時、ティアフォーは夜空に向かって咆哮をあげ、敗者は帽子を脱ぎ軽く頭を振ると、淡々と握手のためにネット際へ歩みを進めた。
「今、自分の持っているものを120パーセント出さないと、勝機はない」
挑戦者のその決意は、試合開始直後から誰の目にも明らかだった。ベースラインから一歩も下がらず、ティアフォーの強打に身体ごと飛び込むように打ち返す。果敢にネットを取り、頭上を越えていくロブを追い、振り向きざまに全力で叩き込むフォアのクロスは、ティアフォーのラケットを弾いた。
均整の取れた身体をバネのようにしならせ、足を跳ね上げながら打ち込む強打は、相手のラケットに触れることなく後方のフェンスに達する。ペース配分などまるで頭にないかのようなチャレンジャーの猛攻に、ティフォーはラケットを投げ苛立ちを隠せぬ様子。
第1セットをタイブレークの末に取った綿貫が、第2セットの最初のゲームをもブレーク。試合の流れは、主導権は、間違いなく綿貫の手中にあった。
だが、気を張り詰め飛ばしに飛ばした綿貫の体力を、日が落ちても下がらぬ気温と、身体にまとわりつく高湿度の空気が奪っていく。「疲れはあったし、リードを奪ってちょっと気が抜けてしまったところがあった」と認める綿貫は、その数分間を強く悔いた。
「あそこで取らなくてはいけなかった」という第2セットをタイブレークの末に落とすと、第3セットの第1ゲームではブレークを許す。スコアラインは線対称のように反転し、客席には地元スター選手の勝利を確信したかのような、安堵にも似た空気が流れた。