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【テニスルール虎の巻】対戦相手が「メディカルタイムアウト」を要求してきた場合はいつから時間を計るのか<SMASH>

スマッシュ編集部

2023.04.24

メディカルタイムアウトでは3分間の治療が認められているが、果たしてどのタイミングから3分間は始まるのか。(C)Getty Images

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。
  
 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこで元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は「メディカルタイムアウト」について。対戦相手がケガによりメディカルタイムアウト(MTO)を要求してきました。MTOの治療時間は3分間ですが、果たしてどのタイミングから時間を計ればよいのでしょうか。

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 主審が付く試合の場合、まず主審がレフェリーとトレーナーを呼び、診断したトレーナーが「今から治療を始めます」と宣言してからの3分間がMTOとなります。治療のためにタオルを敷いたり、マッサージ用のクリームやテーピングを用意する時間は含まれません。

 一方、トレーナーが付かない大会はセルフトリートメント(自分で治療)となります。手当てをする場合はロービングアンパイアを呼び、状況を説明して許可を得た上で行ないます。所要時間はロービングが治療開始と判断した時から計測するので、セルフジャッジでも対戦相手が計ることはありません。

 MTOはレフェリーや主審が許可すれば、次のエンド交代時かセットブレークの間に手当てができ、緊急時はすぐにとれます。

 1部位の症状につき1回の治療が認められており、治療終了後30秒経ってもプレーを再開できない場合はコードバイオレーション(ゲームの遅延)となります。
 
 MTOの対象となるのは「試合中に起きたケガ」や「もともと持っていたケガが悪化した」場合。また「頭が痛い」「吐き気がする」などの内科的なトラブルでも取ることができます。

 ただし、「疲れた」や「なんとなく調子が悪い」といった理由ではただの時間稼ぎになってしまうのでとれません。また「筋肉のケイレン」の場合、選手はエンド交代時またはセットブレークの時間内に限り処置を受けることができますが、ケイレンの処置でMTOをとることはできません。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出を始め、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF国際審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2022年7月号より抜粋・再編集

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