海外テニス

女王シフィオンテクがテニス界の男女賞金格差に苦言!「同じようなことをやっているのだから平等がいい」<SMASH>

中村光佑

2023.04.28

同規模の大会でも男子の方が賞金額が多くなる現状に対してシフィオンテクが苦言を呈した(写真はポルシェ・グランプリ優勝時)。(C)Getty Images

 現在開催中の女子テニスツアー「マドリード・オープン」(4月25日~5月7日/スペイン・マドリード/クレーコート/WTA1000)に第1シードで出場する世界ランク1位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)が、大会開幕前の記者会見に出席。そのなかで男女のツアー大会における獲得賞金額の格差に苦言を呈した。

 テニス界での男女差別撤廃への取り組みは、現在のWTA(女子テニス協会)の創設者としても知られる元世界女王のビリー・ジーン・キング氏(アメリカ/79歳)を中心に広がりを見せてきた。2007年からは全ての四大大会において男女の賞金総額が同額となっている。

 ところがツアートーナメントでは依然としてジェンダーギャップが非常に大きく、とりわけそれは出場選手の獲得賞金に如実に表れている。

 海外メディア『UBITENNIS』によると、先週の「ポルシェ・グランプリ」(WTA500)で大会連覇を果たしたシフィオンテクは優勝賞金として約10万ユーロ(約1476万円)を獲得。これに対して同週に行なわれた男子ツアーの「バルセロナ・オープン」(ATP500)でタイトル防衛を果たした男子世界2位のカルロス・アルカラス(スペイン)は47万5000ユーロ(約7013万円)を手にし、その差は一目瞭然だった。

 こうした差別的な扱いに違和感を覚えているというシフィオンテクは、「男子も女子も同じようなことをやっているわけだから、賞金が平等になったほうが私たちのスポーツにとっていいと思う」と主張。「ただ自分に影響力がそこまであるとは思わない。多くのビジネスや政治が絡むこともあるから、私自身は賞金格差の議論に加わりすぎることはしたくない」と謙虚な姿勢を示しつつ、以下のように続けた。
 
「テニスは他のスポーツよりも賞金の点では優れていると思うけど、WTA のいくつかのトーナメントで 男子ツアーと同じレベルの賞金にするという点では、取り組めることはまだたくさんある。すでに四大大会で男子選手と同額の賞金を得られているのは素晴らしいこと。WTAが賞金を平等にするための取り組みを行なっていくのがよいと思う」

 だが現実はそう甘くない。というのも女子は男子と比較すると四大大会やWTA1000シリーズのような大規模の大会でも勝ち上がるべきトップ選手が早々に敗退するケースが多く見られ、「女子テニスには一貫性がなく、男子選手がより多くの賞金を獲得するのは妥当だ」という声も数多く上がっている。

 だがこうした声にシフィオンテクは「男子のテニスは見やすく、身体的および生物学的に強いため、より多くの魅力をもたらすことができると言っている人もいる。でも私たち(女子選手)は男子選手よりも安定しているし、今は特にそう思う。それに女子選手の方が感情的になる傾向が強く、見ている人たちも感情をかき立てられる」と反論。それでも最後には改めて賞金格差是正に対する自身のスタンスは変わらないとして、「WTAが平等にできれば良いと思う」と締めくくった。

 ここ最近はアンディ・マリー(イギリス)やデニス・シャポバロフ(カナダ)ら一部の男子選手からも賞金格差の是正を求める声が出てきている。これから状況は改善されていくのか、今後の動向に注目が集まりそうだ。

文●中村光佑

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