男子テニス世界ランク40位のドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)がテニス系海外メディア『CLAY』のインタビューに登場。そのなかで長らくメンタルヘルスの不調に悩まされていたことを告白した。
切れのある片手バックハンドや相手の時間を奪う巧みなストロークで安定した活躍を見せてきたラヨビッチは、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大により様々な制限下でツアーを転戦しなければならなかった混乱の時期に「数多くのメンタルの問題を抱えていた」という。
「その時は悪い状況下にいた」と続けた32歳は、当時の具体的な症状について「うつ病や不安神経症、強迫性障害を併発していた」と説明。また世界中で新型コロナが猛威を振るうなかで選手活動を続けることへの疑問が沸き上がり、心の中である種のジレンマを抱えていたと明かした。
「新型コロナで停止していたツアーに復帰した時、無観客の状態で再びプレーを始め、渡航や検疫に関するプロトコルや、部屋やテニスクラブから出られないといったルールがあるなかで、僕は自分自身との葛藤を抱いていた。世界中の人々が苦しんでいるのに、我々はテニスをしているのか、とも感じていた」
「なぜプレーしているのか? それはただ単に仕事を続けるためだけのものなのか? そんな感じで精神的に悪いループに陥ってしまった。気持ち的に落ち込んで、自分の仕事を楽しめなくなった。僕はテニスを楽しんでいるのに、身の周りで起こっていることが、良い気分で自分の仕事をすることを許してくれなかった」
最近になってようやく各国で新型コロナ関連のプロトコルが緩和されたことで「再び立ち直り始めた」というラヨビッチだが、「新たなモチベーションを見つけることができた」昨シーズンも出場大会で望み通りの結果を残すことができなかった。自身でも「2022年は僕のキャリアで最悪のシーズンだった」と認めている。
一方で現在は比較的良い精神状態を保てていると語るラヨビッチは、良好なメンタルヘルスをキープするために「数カ月前から心理学者のセラピーを受けている」とコメント。その取り組みが自身にポジティブな変化をもたらし始めているが故に、「もっと早くからセラピーを始めておけばよかった」と後悔の念を口にしつつも、自身の体験談が一人でも多くの人に役立ってほしいと述べ、こう締めくくった。
「解決策は必ずあるということを、人々に示したい。というのも、僕はとても内向的な人間で、考えすぎてしまうから、まだ起こっていないことに対して不安に感じてしまうことがある。でもそういう状況に陥ることはテニスもしくは人生全般においても生産的なものにはならない」
どうやらメンタルコントロールの訓練は早速多大な効果を発揮しているようだ。先週の「スルプスカ・オープン」(ATP250)にノーシードで出場したラヨビッチは、初戦からタフな試合を尽く勝ちあがり、準々決勝では過去0勝2敗だった同郷の世界王者ノバク・ジョコビッチをストレートで撃破。その後も快進撃を続けて決勝へと駒を進め、トップ10プレーヤーのアンドレイ・ルブレフ(ロシア/現6位)にフルセットで勝利して殊勲のツアー2勝目を飾った。
文●中村光佑
【画像】全仏オープン2022で活躍したジョコビッチら男子選手の厳選写真
切れのある片手バックハンドや相手の時間を奪う巧みなストロークで安定した活躍を見せてきたラヨビッチは、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大により様々な制限下でツアーを転戦しなければならなかった混乱の時期に「数多くのメンタルの問題を抱えていた」という。
「その時は悪い状況下にいた」と続けた32歳は、当時の具体的な症状について「うつ病や不安神経症、強迫性障害を併発していた」と説明。また世界中で新型コロナが猛威を振るうなかで選手活動を続けることへの疑問が沸き上がり、心の中である種のジレンマを抱えていたと明かした。
「新型コロナで停止していたツアーに復帰した時、無観客の状態で再びプレーを始め、渡航や検疫に関するプロトコルや、部屋やテニスクラブから出られないといったルールがあるなかで、僕は自分自身との葛藤を抱いていた。世界中の人々が苦しんでいるのに、我々はテニスをしているのか、とも感じていた」
「なぜプレーしているのか? それはただ単に仕事を続けるためだけのものなのか? そんな感じで精神的に悪いループに陥ってしまった。気持ち的に落ち込んで、自分の仕事を楽しめなくなった。僕はテニスを楽しんでいるのに、身の周りで起こっていることが、良い気分で自分の仕事をすることを許してくれなかった」
最近になってようやく各国で新型コロナ関連のプロトコルが緩和されたことで「再び立ち直り始めた」というラヨビッチだが、「新たなモチベーションを見つけることができた」昨シーズンも出場大会で望み通りの結果を残すことができなかった。自身でも「2022年は僕のキャリアで最悪のシーズンだった」と認めている。
一方で現在は比較的良い精神状態を保てていると語るラヨビッチは、良好なメンタルヘルスをキープするために「数カ月前から心理学者のセラピーを受けている」とコメント。その取り組みが自身にポジティブな変化をもたらし始めているが故に、「もっと早くからセラピーを始めておけばよかった」と後悔の念を口にしつつも、自身の体験談が一人でも多くの人に役立ってほしいと述べ、こう締めくくった。
「解決策は必ずあるということを、人々に示したい。というのも、僕はとても内向的な人間で、考えすぎてしまうから、まだ起こっていないことに対して不安に感じてしまうことがある。でもそういう状況に陥ることはテニスもしくは人生全般においても生産的なものにはならない」
どうやらメンタルコントロールの訓練は早速多大な効果を発揮しているようだ。先週の「スルプスカ・オープン」(ATP250)にノーシードで出場したラヨビッチは、初戦からタフな試合を尽く勝ちあがり、準々決勝では過去0勝2敗だった同郷の世界王者ノバク・ジョコビッチをストレートで撃破。その後も快進撃を続けて決勝へと駒を進め、トップ10プレーヤーのアンドレイ・ルブレフ(ロシア/現6位)にフルセットで勝利して殊勲のツアー2勝目を飾った。
文●中村光佑
【画像】全仏オープン2022で活躍したジョコビッチら男子選手の厳選写真