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テニス早慶戦、女子は早大が2年ぶりの勝利。フルセットマッチでの勝負強さが光る<SMASH>

渡辺隆康(スマッシュ編集部)

2023.05.15

春の早慶戦女子、早大の勝利を決めた梶野桃子(左)、早大の絶対的エース神鳥舞(中)、慶大で唯一の白星を挙げた大川美佐(右)。写真:スマッシュ編集部

 伝統の「早慶対抗庭球試合」(早慶戦)が、5月13日、14日、西東京市の早稲田大学東伏見三神記念テニスコートで行なわれた。早慶戦は春と秋の年2回開催され、今回で男子第195回・女子第109回を迎える。両大学の選手、応援部員、全関係者の意地と意地がぶつかり合う歴史ある戦いだ。

 女子はダブルス2本、シングルス5本の3セットマッチ7試合制。令和に入ってからは慶應義塾大学が6勝1敗と優勢だが、3本柱だった佐藤南帆、永田杏里、今田穂が揃ってこの春卒業し、今年のチーム力は未知数だ。実際、競り合った場面で力を発揮したのは早大だった。

 初日のダブルスで早大は2勝0敗とリードする。D2の金子さら紗/田邑来未が接戦をモノにし、去年のインカレ&インカレ室内優勝ペアであるD1神鳥舞/齋藤優寧も貫録勝ち。早大の石井弥起監督いわく「不安があったD2を取れたのが大きく、シングルスで思い切ったプレーができた」と振り返る。

 その言葉通り2日目のシングルスでは、まずS5の宮田萌芳が圧勝で3勝目を挙げて王手を掛けると、S4の梶野桃子もファイナルタイブレークの激戦を制し、怒涛の4連勝でチームの勝利を決めてしまった。

 慶大はS3の大川美佐が一矢報いたものの、S2、S1も早大の神鳥舞、田邑来未が競り勝ち、計6勝1敗で2021年春以来の勝利を手にした。通算成績は早大の63勝46敗。
 
 石井監督は「思っていた通りにチームを強化できた」と勝因を語る。「負けた選手も含めて成長しており、しっかり戦えるようになった」。今回、フルセットに及んだ試合が単複合わせて5つあったが、そのうち4つを奪ったところに、その成長が表れていよう。

 慶大の坂井利彰監督は、「主力が抜けたのはあるが、選手たちはやってきたことを出せてはきている」と一定の評価を示した。ただ、接戦での負けが多かったことをやはり課題に挙げる。「プレッシャーがかかる場面でのプレーが変わってくれば、結果も変わってくる」と、今後の強化方針を胸に刻んでいた。

◆女子結果
早稲田大学[6-1]慶應義塾大学
D1:○神鳥舞/齋藤優寧[6-2 6-4]大川美佐/堤華蓮×
D2:○金子さら紗/田邑来未[6-7(4) 6-1 6-4]大橋麗美華/中島玲亜×
S1:○神鳥舞[7-6(3) 4-6 6-1]大橋麗美華×
S2:○田邑来未[6-3 3-6 6-4]堤華蓮×
S3:×金子さら紗[6-2 1-6 4-6]大川美佐○
S4:○梶野桃子[4-6 6-4 7-6(2)]中島玲亜×
S5:○宮田萌芳[6-1 6-2]西飛奈×

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)

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