海外テニス

キリオス全仏欠場の本当の理由をマネージャーが明かす「母親を助けようとして足に切り傷を負った」<SMASH>

中村光佑

2023.05.21

ヒザのケガがら回復に向かっていた矢先、キリオスは強盗事件の際に足に大きな傷を負ってしまった。(C)Getty Images

 長らく悩まされているヒザのケガを理由として、今月末に開幕するテニス四大大会「全仏オープン」(フランス・パリ/クレーコート)の欠場を発表したとされていた男子テニス世界ランク26位のニック・キリオス(オーストラリア)。ところが全仏の出場辞退を決断した背景には別の事情があることを、同選手のマネージャーを務めるダニエル・ホースフォール氏が明かした。

 長期離脱中のキリオスは現地5月2日の午前8時30分頃に故郷オーストラリアの自宅にいた際、自身が所有するテスラ製の車を盗まれ、母親のノルレイラ・キリオスさんが犯人の男に銃で脅されるという事件に遭遇したことが各種メディアで報じられていた。

 海外メディア『UBITENNIS』によると、ホースフォール氏は豪メディア「キャンベラ・タイムズ」の取材で「キリオスは(身の危険にさらされた)母親を助けようとした際に足に切り傷を負ってしまい、全仏に出場できなくなった」とコメント。その詳細については以下のように説明している。
 
「我々は彼(キリオス)が全仏で5セットを快適にプレーできるレベルまで持っていく必要があったが、(ヒザのケガからの)復帰ロードに突入した矢先、彼の自宅で強盗事件が発生した。その最中に彼は足をかなりひどく切ってしまった。具体的にどのタイミングでそれが起こったのかはわからないが、かなり大きな傷だ。傷の場所は、もう1週間半ほど開いている。治りが悪く、コートでのトレーニングに取り組むことができないため、現在は2週間ほどコートを離れている状況だ」

 その一方で今年1月に手術を決行したヒザの状態については「特に問題はない」と強調。「リハビリの成果は素晴らしく、コート上でヒザに負荷をかけながらコントロールを行なっていく段階にあった。彼のヒザは大丈夫だ。まだ十分な負荷をかけることができていないだけだ」と話した。

 昨年ベスト4に進出した「Fayez Sarofim&Co.US男子クレーコート選手権」(アメリカ・ヒューストン/クレーコート/ATP250)の大会期間中のインタビューでは「僕はクレーコートの相性は良くないけど、僕のガールフレンドがパリに行ってみたいって言うから、来年は全仏に出るよ」と語っていたキリオス。残念ながらその約束を果たすことはできなくなったわけだが、とにかく今は足の治療に専念してもらいたいところ。近いうちに100パーセントの状態で力強いカムバックを遂げてくれることを期待したい。

文●中村光佑

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