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全仏初戦の激闘を制したモンフィスが手首のケガで2回戦を棄権…「昨日からすでに危険な状態だった」<SMASH>

中村光佑

2023.06.01

4時間近い死闘となった全仏1回戦を勝ち切ったモンフィスだが、その代償は大きかった。「手首に問題があり、解決できなかった」と2回戦の棄権を決めた。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全仏オープン」の男子シングルスで初戦を突破していた元世界ランク6位のガエル・モンフィス(フランス/現394位)が、現地6月1日に予定されていたホルガー・ルネ(デンマーク/同6位)との2回戦を手首のケガにより棄権した。

 昨年8月の「カナダ・マスターズ」で右足首を痛め、そこから約半年にわたるツアー離脱を余儀なくされたモンフィス。今年3月の「BNPパリバ・オープン」(ATP1000)で待望のカムバックを果たすも、今度は同月下旬の「マイアミ・オープン」(ATP1000)1回戦で同郷のユーゴ・アンベール(現40位)と対戦した際に右手首を負傷。

 36歳という年齢も影響しているのか、ここ最近は度重なるケガで復帰と離脱を繰り返している。欧州クレーシーズンに入ってからはチャレンジャー(下部大会)を含め計4大会に出場するも、そのうちの3大会で初戦敗退を喫していた。

 不安を抱えたまま全仏を迎えたモンフィスだったが、現地5月30日に実施された1回戦ではクレーコートを得意とするセバスチャン・バエス(アルゼンチン/42位)を相手に驚異の粘りを見せ、3時間47分の死闘の末に3-6、6-3、7-5、1-6、7-5で勝利。試合後の勝者恒例のカメラサインでは、昨年10月に妻のエリナ・スビトリーナ(ウクライナ/女子元世界3位/現192位)との間に誕生した娘のスカイちゃんの名前を記し、ファンの間で反響を呼んでいた。
 
 だがタフな試合を勝ち切った代償は大きかった。ATP(男子プロテニス協会)公式サイトによると、モンフィスは現地31日の記者会見で2回戦の棄権を決断した理由について、左手首のTFCC損傷(手首の小指側にあるTFCCと呼ばれる靱帯と線維軟骨の複合体が損傷するケガ)を発症したと説明。詳細については以下のようにコメントしている。

「実は、肉体的にはかなり元気だ。今朝は(勝利直後で)とても幸せだった。でも、手首に問題があって、それを解決することができなかった。昨日のバエスとの試合中からずっと手首には違和感があった。医師からは『このような手首のケガを抱えたままプレーするのは良くない』とアドバイスを受けた。昨日からすでに危険な状態だったようで、今日(2回戦)は間違いなくやめた方がいいと言われた」

 2004年のプロ転向から約20年にもわたって数えきれないほどの試合数をこなしてきたこともあって、身体は悲鳴を上げているのかもしれない。「危険な状態だった」という言葉を踏まえれば、今回の棄権は妥当な判断と言えるだろう。再び元気な姿でコートに戻ってこられるよう、とにかく今は手首の治療に専念してもらいたい。

文●中村光佑

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