元世界ランク4位の錦織圭(33歳)が1年8か月ぶりの復帰戦として臨んだ男子テニスツアー下部大会「カリビアン・オープン」(6月12日~18日/プエルトリコ・パルマスデルマル/ハードコート/ATPチャレンジャー75)。大会最終日の現地18日にはシングルス決勝が行なわれ、錦織は世界1118位のマイケル・ジェン(アメリカ)と対戦。6-2、7-5のストレートで勝利し、復帰大会で見事優勝を果たした。
大会開幕前の会見では完全復活に向けて「まずは早めに1回勝ちたい」と語っていた錦織。ところが蓋を開けてみると600日以上ものブランクがあったとは思えない圧巻のプレーで勝ち上がり、試合を重ねるごとにパフォーマンスの質も向上。勢いそのままに挑んだこの日の決勝も立ち上がりから試合を優位に進めていく。
19歳とまだ若いジェンを相手に得意のリターンでリズムをつかんだ錦織は、第1ゲームでいきなりブレークに成功。ブレーク直後の第2ゲームを難なくキープすると、以降も錦織らしい安定感抜群のプレーで主導権を確保する。第5ゲームでは2連続リターンエースでポイントを先行し、フォアハンドのウイナーも決めて2度目のブレークを獲得。サービング・フォー・ザ・セットとなった第7ゲームをラブゲームでキープして第1セットを先取する。
第2セットに入っても錦織の勢いは衰えない。第1ゲームではじっくりラリーを組み立てながら、バックハンドのダウンザラインを2本決めるなどしてポイントをリードすると、最後はフォアハンドのウイナーを奪ってブレークに成功。だが第4ゲームではファーストサービスの入りが悪くなり、相手も粘りのプレーを見せてきたことでブレークバックを許してしまう。
直後の第5ゲームでは、バックのダウンザラインと巧みなネットプレーを軸にブレークチャンスをつかむと、4本目のブレークポイントで相手のバックのストレートがサイドラインを割り、再びリードを奪う。第7ゲームでまたしてもブレークを果たした錦織だったが、そこから2本のサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップを落としてしまいゲームカウントは5-5となる。
それでも経験豊富な日本の大エースは冷静だった。疲労の色を隠せない中でラケットをしっかりと振り切った錦織が第11ゲームをラブゲームでブレーク。3度目のサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップを何とか取りきり、1時間41分で価値ある優勝を手にした。
表彰式でいい笑顔を見せながらトロフィーを掲げた錦織は、WOWOWのコートサイドインタビューを通じて決勝戦を振り返るとともに喜びのコメントを残した。
「想像以上の結果を得られた。加えて今日のプレーはすごく良くて、それが何よりもうれしかった。最後はめちゃくちゃ危なかったけど、まあいつも通りというか…結構慣れた展開ではあったから、(ゲームカウントが)5-5になった時も落ち着いて、自分のテニスを思い出しつつ、攻めるのを意識しながら試合を締めることができた。危なかったけど勝ててよかった」
なお今回の優勝により昨年10月に消滅していたランキングも500位前後まで戻すことが確定した錦織。こうなると思ったよりも早くツアーで戦えるようになるのではないかと思ってしまうものだが、完全復活への道はまだまだ始まったばかり。焦ることなくさらなる自信をつけていってほしいものだ。
文●中村光佑
【連続写真】スイング中に時間のズレを調節する、錦織圭のジャックナイフ
大会開幕前の会見では完全復活に向けて「まずは早めに1回勝ちたい」と語っていた錦織。ところが蓋を開けてみると600日以上ものブランクがあったとは思えない圧巻のプレーで勝ち上がり、試合を重ねるごとにパフォーマンスの質も向上。勢いそのままに挑んだこの日の決勝も立ち上がりから試合を優位に進めていく。
19歳とまだ若いジェンを相手に得意のリターンでリズムをつかんだ錦織は、第1ゲームでいきなりブレークに成功。ブレーク直後の第2ゲームを難なくキープすると、以降も錦織らしい安定感抜群のプレーで主導権を確保する。第5ゲームでは2連続リターンエースでポイントを先行し、フォアハンドのウイナーも決めて2度目のブレークを獲得。サービング・フォー・ザ・セットとなった第7ゲームをラブゲームでキープして第1セットを先取する。
第2セットに入っても錦織の勢いは衰えない。第1ゲームではじっくりラリーを組み立てながら、バックハンドのダウンザラインを2本決めるなどしてポイントをリードすると、最後はフォアハンドのウイナーを奪ってブレークに成功。だが第4ゲームではファーストサービスの入りが悪くなり、相手も粘りのプレーを見せてきたことでブレークバックを許してしまう。
直後の第5ゲームでは、バックのダウンザラインと巧みなネットプレーを軸にブレークチャンスをつかむと、4本目のブレークポイントで相手のバックのストレートがサイドラインを割り、再びリードを奪う。第7ゲームでまたしてもブレークを果たした錦織だったが、そこから2本のサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップを落としてしまいゲームカウントは5-5となる。
それでも経験豊富な日本の大エースは冷静だった。疲労の色を隠せない中でラケットをしっかりと振り切った錦織が第11ゲームをラブゲームでブレーク。3度目のサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップを何とか取りきり、1時間41分で価値ある優勝を手にした。
表彰式でいい笑顔を見せながらトロフィーを掲げた錦織は、WOWOWのコートサイドインタビューを通じて決勝戦を振り返るとともに喜びのコメントを残した。
「想像以上の結果を得られた。加えて今日のプレーはすごく良くて、それが何よりもうれしかった。最後はめちゃくちゃ危なかったけど、まあいつも通りというか…結構慣れた展開ではあったから、(ゲームカウントが)5-5になった時も落ち着いて、自分のテニスを思い出しつつ、攻めるのを意識しながら試合を締めることができた。危なかったけど勝ててよかった」
なお今回の優勝により昨年10月に消滅していたランキングも500位前後まで戻すことが確定した錦織。こうなると思ったよりも早くツアーで戦えるようになるのではないかと思ってしまうものだが、完全復活への道はまだまだ始まったばかり。焦ることなくさらなる自信をつけていってほしいものだ。
文●中村光佑
【連続写真】スイング中に時間のズレを調節する、錦織圭のジャックナイフ