男子テニス世界ランク５位のステファノス・チチパス（ギリシャ）が欧米スポーツメディア『Eurosport』のインタビューに登場。父親でコーチでもあるアポストロス・チチパス氏の存在の重要性について言及し、「父は最高のコーチだ」と語った。

　プロ選手としての経験がないにもかかわらず、幼い頃からプレー面でもメンタル面でも自分をサポートし続けてくれているアポストロス氏には、息子のチチパスも絶大な信頼を寄せている。

　かけがえのない父親と共に鍛錬を積んできたチチパスは四大大会で２度の準優勝（2021年全仏、23年全豪）を経験しており、19年には年間トップ８だけが集うシーズン最終戦「ATPファイナルズ」でもタイトルを獲得。さらには四大大会に次ぐマスターズ1000シリーズでも２勝を挙げており、アポストロス氏の存在がチチパスの大きな支えとなっているのは一目瞭然だ。

　かねてから試合中のコーチング（現在は男子ツアーでも許可されている）で度々警告を受けるなど問題行動も多いアポストロス氏とは、コーチ関係を解消すべきだとの声も多いものの、チチパス自身はどんなに苦しい状況でもそばにいてくれた父親を簡単に見捨てるわけにはいかないと語る。「いつも彼は僕を見守ってくれている」と切り出した24歳の若獅子は以下のように続けた。
  「父は僕が12歳の時に仕事を辞め、そこからは一緒に日々進歩し、進化してきた。インターネットでも本でも何でも、できる限り学ぼうとしている姿を見ると、とてもうれしくなる。彼はただのコーチではないし、ある日突然ラケットを手にしてコーチになろうと決めた人でもない。彼は知識が豊富で、僕よりも先にプロ選手と仕事をしている。彼は自分のやっていることをよく理解しているし、（何よりも）僕と相性がいいんだ」

　先月下旬には昨夏から師事してきた男子元世界８位のマーク・フィリポーシス氏（オーストラリア／46歳）との契約を終了したと報告したチチパス。今でもフィリポーシス氏とは「連絡を取っている」というが、現状では再び父親と自分が主体となったチーム編成に満足しているという。そう考える理由については次のように説明している。

「元プレーヤーの人たちとも一緒に仕事をしてきたし、僕自身は一緒に時間を過ごしながらそういった人たちとできるだけシンクロできるように心掛けてきた。その一方でトーナメント中にあまりに多くの人が周りにいると、自分の心の中にちょっとした混乱やアンバランスが引き起こされてしまうことがあるんだ」

　あくまでも自分が心安らぐチームメンバーと共に戦っていきたいということだろう。これからも「最高のコーチ」と称する父親と二人三脚で、さらなる活躍を見せてくれることを期待したい。

文●中村光佑

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