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ウインブルドン前哨戦でアルカラスが優勝!世界ランク1位へ返り咲く「芝で高いレベルのプレーができた」<SMASH>

中村光佑

2023.06.26

芝コートのツアー大会で初制覇を果たしたアルカラスは、ウインブルドンへ向けて大きく弾みをつけた。(C)Getty Images

 男子テニスツアー「シンチ選手権」(6月19日~25日/イギリス・ロンドン/芝コート/ATP500)は現地6月25日にシングルス決勝が行なわれ、第1シードのカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク2位)が登場。第7シードのアレックス・デミノー(オーストラリア/同18位)を6-4、6-4のストレートで下し、芝コートのツアー大会でキャリア初となる優勝を飾った。

 今大会が芝シーズン初戦となった20歳のアルカラスは、アーサー・リンダークネッシュ(フランス/83位)との1回戦こそフルセットマッチを強いられたものの、以降のラウンドは全てストレートで勝ち上がって来た。この日の決勝も勢いそのままに立ち上がりから安定したプレーを披露する。

 序盤から拮抗した展開が続いた中で迎えた第8ゲーム、アルカラスは自身のミスやパッシングショットを複数回決められたことで2度ブレークポイントを握られるも、ここを何とか凌ぎ切る。すると直後の第9ゲームでは逆にアルカラスがブレークチャンスをつかみ、これをしっかりと生かし切って値千金のブレークに成功。重要なポイントを物にしたアルカラスが第1セットを6-4で先取する。

 これで流れに乗ったアルカラスは得意のフォアハンドの強打と正確なリターンを軸にポイントを量産し、第2セットでも第5ゲームでブレークポイントを取得。最後はデミノーのダブルフォールトを誘ってリードを奪うと、その後も落ち着いたプレーを見せて相手に主導権を渡さない。

 サービング・フォー・ザ・チャンピオンシップとなった第10ゲームでは、0-30とポイントを先行されるもそこから強烈なサービスで3ポイントを連取。マッチポイントを1回で取り切ったアルカラスが1時間38分で勝利を収めた。
 
 この結果アルカラスは大会後に更新される世界ランキングで約1か月ぶりとなる世界1位返り咲きが確定。また20歳でのクイーンズ優勝は2000年大会を制したレイトン・ヒューイット(オーストラリア/元1位/引退)以来となる最年少での快挙だ。

 プロ転向からわずか5年にして全てのサーフェス(ハード・クレー・芝)でタイトルを手にした男子テニス界のニューヒーローは、試合後のオンコートインタビューで以下のように喜びを語った。

「この優勝は僕にとって大きな意味がある。初参戦となったこの大会で優勝できたのは素晴らしいことだよ。自分が芝コートで高いレベルのプレーができるということがわかったし、全てのサーフェスでチャンピオンになれたことは特別なことだと思う」

 約1週間後の開幕を控える四大大会「ウインブルドン」(7月3日~16日/イギリス・ロンドン/芝コート)に向けて大きく弾みをつける結果を得たアルカラス。それでもどこか控え目な20歳の若獅子は、同大会で4連覇中のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が「今年も優勝候補であることは変わらない」としたうえで、「もちろんここで世界1位の座を取り戻したことでモチベーションも上がるし、ウインブルドンに臨むうえでの自信にもなる。でも(ウインブルドンをプレーするのに)自分がどのランキングにいるかはあまり関係ない」と冷静にインタビューを締めくくった。

文●中村光佑

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【動画】「シンチ選手権」決勝!アルカラス対デミノーのハイライト