25歳でテニスを始め、32歳でプロになった市川誠一郎選手は、夢を追って海外のITF大会に挑み続ける。雑草プレーヤーが知られざる下部ツアーの実情を綴る転戦記。
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ヨーロッパの練習環境についてリポートするシリーズ。これまでに述べてきたように、選手はテニスアカデミーに身を置いて練習するケースが多いのですが、ヨーロッパではテニスクラブを拠点にする選手も一定数います。
アカデミーに対してテニスクラブは、趣味でテニスをする一般のアマチュアプレーヤーも含め、誰でも使える会員制の場所です。
以前の記事でも書きましたが、ヨーロッパのテニスクラブでは「クラブリーグ」という文化が根付いています。強いチームを持つテニスクラブの中には地域の強い選手が多く在籍しているところがあり、そうしたクラブではかなり安く練習相手とコート等の練習環境を確保できます。
クラブを拠点にする場合、アカデミーのようにコーチが毎回入ってくれる環境ではないので、ジュニア選手には向きません。そこまでコーチングを必要としないタイプのプロ選手が、練習相手だけを求めている場合に、非常に安価にその環境を得ることができます。
もちろん毎日、あるいは午前、午後、コーチがずっと練習を見てくれたり、トレーナーがいたりするわけではありません。自分で練習相手を見つけて、連絡し、予定をオーガナイズする必要があります。
クラブによっては、クラブに雇われているコーチが選手の練習を適宜見てくれる場所などもあります。クラブコーチのコーチングはアカデミーのように毎日あるわけではないですが、そのぶん基本的にはアカデミーよりもかなり安いと言えるでしょう。
テニスクラブの会員費用は、ひと夏(4~9月)であれば200ユーロ(約31,000円)もかからない所が数多くあります。この金額で半年間近く外のクレーコートを自由に使えるのです。
コーチングに対する費用は練習の頻度次第ですが、基本的に自分たちで練習する形であれば、月300ユーロ程度で済むこともあります。冬の間はインドアコートを使う国が多いため、それなりの金額がかかるとはいえ、費用は段違いと言っていいと思います。
自分で練習相手をオーガナイズするのは決して簡単ではないですが、経済的な余裕のない選手、かつ自分でオーガナイズできてフレキシブルに動くことが得意な選手は、よくこうしたテニスクラブを拠点に練習しています。
国内大会やクラブリーグといった試合もたくさんあるので、公式戦と合わせれば十分練習できる環境を得ることが可能です。
文●市川誠一郎
〈PROFILE〉
1984年生まれ。開成高、東大を卒業後ゼロからテニスを始め、32歳でプロ活動開始。36歳からヨーロッパに移り、各地を放浪しながらITFツアーに挑んでいる。2023年5月、初のATPポイントをダブルスで獲得。Amebaトップブロガー「夢中に生きる」配信中。ケイズハウス/HCA法律事務所所属。
【PHOTO】雑草プロの世界転戦記・ヨーロッパのテニスアカデミーでの日常風景
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ヨーロッパの練習環境についてリポートするシリーズ。これまでに述べてきたように、選手はテニスアカデミーに身を置いて練習するケースが多いのですが、ヨーロッパではテニスクラブを拠点にする選手も一定数います。
アカデミーに対してテニスクラブは、趣味でテニスをする一般のアマチュアプレーヤーも含め、誰でも使える会員制の場所です。
以前の記事でも書きましたが、ヨーロッパのテニスクラブでは「クラブリーグ」という文化が根付いています。強いチームを持つテニスクラブの中には地域の強い選手が多く在籍しているところがあり、そうしたクラブではかなり安く練習相手とコート等の練習環境を確保できます。
クラブを拠点にする場合、アカデミーのようにコーチが毎回入ってくれる環境ではないので、ジュニア選手には向きません。そこまでコーチングを必要としないタイプのプロ選手が、練習相手だけを求めている場合に、非常に安価にその環境を得ることができます。
もちろん毎日、あるいは午前、午後、コーチがずっと練習を見てくれたり、トレーナーがいたりするわけではありません。自分で練習相手を見つけて、連絡し、予定をオーガナイズする必要があります。
クラブによっては、クラブに雇われているコーチが選手の練習を適宜見てくれる場所などもあります。クラブコーチのコーチングはアカデミーのように毎日あるわけではないですが、そのぶん基本的にはアカデミーよりもかなり安いと言えるでしょう。
テニスクラブの会員費用は、ひと夏(4~9月)であれば200ユーロ(約31,000円)もかからない所が数多くあります。この金額で半年間近く外のクレーコートを自由に使えるのです。
コーチングに対する費用は練習の頻度次第ですが、基本的に自分たちで練習する形であれば、月300ユーロ程度で済むこともあります。冬の間はインドアコートを使う国が多いため、それなりの金額がかかるとはいえ、費用は段違いと言っていいと思います。
自分で練習相手をオーガナイズするのは決して簡単ではないですが、経済的な余裕のない選手、かつ自分でオーガナイズできてフレキシブルに動くことが得意な選手は、よくこうしたテニスクラブを拠点に練習しています。
国内大会やクラブリーグといった試合もたくさんあるので、公式戦と合わせれば十分練習できる環境を得ることが可能です。
文●市川誠一郎
〈PROFILE〉
1984年生まれ。開成高、東大を卒業後ゼロからテニスを始め、32歳でプロ活動開始。36歳からヨーロッパに移り、各地を放浪しながらITFツアーに挑んでいる。2023年5月、初のATPポイントをダブルスで獲得。Amebaトップブロガー「夢中に生きる」配信中。ケイズハウス/HCA法律事務所所属。
【PHOTO】雑草プロの世界転戦記・ヨーロッパのテニスアカデミーでの日常風景