海外テニス

フェレーロ氏が予想する愛弟子アルカラスとジョコビッチの大一番「落ち着いてプレーできれば大接戦になる」<SMASH>

中村光佑

2023.07.16

ジョコビッチに勝てるかは結局のところアルカラス(左)次第。全仏の時のように緊張せず、自分のレベルでプレーできればチャンスはあるとフェレーロ氏(右)は見る。(C)Getty Images

 連日熱戦が繰り広げられてきたテニス四大大会「ウインブルドン」もいよいよフィナーレ。日本時間7月16日の22時から行なわれる男子シングルス決勝では、20歳で世界ランキング1位に君臨するカルロス・アルカラス(スペイン)と大会5連覇を狙うノバク・ジョコビッチ(セルビア/2位)による大注目の一戦が実現する。

 両者がツアーで顔を合わせるのはこれが3度目。直近の対戦は先月初旬の全仏オープン準決勝で、この時は試合途中でアルカラスが全身ケイレンに見舞われたこともあり、ジョコビッチが6-3、5-7、6-1、6-1で勝利していた。パリの赤土のコートではあっけない幕切れを迎えてしまっただけに、聖地の芝の上では2人が最後まで素晴らしいバトルを繰り広げてくれることをファンも大いに期待しているだろう。

 アルカラスにとっては四大大会2勝目とジョコビッチへのリベンジがかかる大一番となるが、20歳のヤングスターを2019年から指導する男子元世界1位のホアン・カルロス・フェレーロ氏は、ウインブルドン期間中に応じたスペインメディア『El Partidazo de COPE』の取材で愛弟子の勝機について「五分五分かな」と予想。アルカラスが現地14日の準決勝で世界3位のダニール・メドベージェフ(ロシア)に6-3、6-3、6-3の快勝劇を演じたことを踏まえつつ、こう続けた。

「カルロスもノバクも非常に調子がいい。確かにノバクはとてもいいプレーをしているが、ダニールに対して独壇場を築き上げたカルロスも高いレベルにいる。カルロスが落ち着いて、自分のレベルでプレーできれば、大接戦になるだろう。だがもし、カルロスが自分のレベルでプレーできず、(全仏の時と同じように)緊張したままプレーをすれば、ノバクに勝つのは難しいだろう」
 
 そしてフェレーロ氏は今度こそかけがえのない愛弟子を勝利に導くために「パリの試合よりももう少し良い準備をしようと思っている」とコメント。およそ5年前のプロ転向から現在もすさまじい進化を続けるアルカラスなら、再び大きなことを成し遂げてくれるのではないかと期待の言葉を送った。

「彼(アルカラス)はとても若く、責任も重い立場にいるが、我々の期待に応えてくれていると思う。我々は彼のことも、そして彼の可能性も信じているし、どの大会にも勝ちに行くつもりで臨んでいる」

「勝つことは不可能と考えるのは間違いだ。彼が持つ勝者としての性格が、"勝つことができない"と考えることを許さないのだ。カルロスは複雑な局面を乗り越えるのが好きな上に、このような大舞台でプレーするための成熟した心も兼ね備えている」

 テニスの聖地で実現したファン待望の"頂上決戦"。その結末はいかに...。

文●中村光佑

【PHOTO】アルカラス、ジョコビッチらウインブルドン2023で熱戦を繰り広げる男子選手たち