現在開催中の男子テニスツアー「ムバダラ・シティDCオープン」（７月31日～８月６日／アメリカ・ワシントンD.C.／ハードコート／ATP500）でシングルス３回戦進出を決めた地元勢のフランシス・ティアフォー（アメリカ／世界ランク10位）が、勝利後のオンコートインタビューでバスケットボール界のスーパースターから直々に祝福の言葉を受け、テニスファンの間で反響を呼んでいる。

　今大会に第２シードとして出場しているティアフォーは、初戦となった現地１日の２回戦で世界75位のアスラン・カラチェフ（ロシア）と対戦。第１、２セット共に緊迫した攻防となるなか、ティアフォーが７－６(５)、７－６(５)の僅差で振り切り、予選勝者のシャン・ジュンチェン（中国／149位）との３回戦へと駒を進めた。

　そして試合後のオンコートインタビュー――、ここにNBAのフェニックス・サンズに所属するワシントン出身のケビン・デュラント（アメリカ）が満を持して登場。コートサイドで試合を観戦していたデュラントは会場からの大歓声を浴びながら、大のバスケ好きでも知られるティアフォーの勝利と、アメリカテニス界への貢献ぶりを称える言葉をこう並べた。

「今夜はスタジアム内にエネルギーがあふれていた。エキサイティングだったし、彼が勝ってくれてうれしいよ。第一に彼は、まさにこの舞台からその大きなエネルギーをもたらしてくれている。彼はアメリカテニス界を代表するにふさわしい人物だ。我々は彼のことを誇りに思っている」

　このデュラントからの"称賛コメント"に対して非常にうれしそうな様子を見せたティアフォー。インタビューでは幼い頃にワシントン大会を観戦した思い出をこう回顧した。
  「僕はとてつもなく大きな夢とチャンスを持った子どもだった。正直なところ、こういったことを経験すべきではないのだろう。僕は両親に"非常に若くしてプロになる"と言いながら、思いもよらぬことに、おさがりの服を着て、さらには穴の空いた靴やカーゴパンツを履いてこっそりこの大会に足を運んでいた」

　そして今、自身が尊敬するNBAのスター選手たちが自分のプレーを見てくれていることに、喜びと感謝の言葉を述べた。

「デュラントやケンテイビアス・コールドウェル・ポープ（アメリカ／デンバー・ナゲッツ）、ダニエル・ギャフォード（アメリカ／ワシントン・ウィザーズ）のような人たちが、僕のプレーを見たいと思ってくれている。僕は何年も本当に一生懸命頑張ってきた。でも僕はそれに関してもとても謙虚な気持ちでいる。

　彼ら（NBAの選手）が時間を割いて僕のプレーを見に来たいと思っていることに対しても謙虚にしている。でもそれはとてもインパクトがあることだし、これからも継続していきたい瞬間の１つだね」

　競技は違えども第一線で活躍する同郷の名アスリートが自分を見ていてくれることは、ティアフォーに大きなモチベーションを与えているはずだ。まだまだキャリアが続くであろうティアフォーには、この先も米国テニス界をけん引していってほしい。

文●中村光佑

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