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【伊達公子】夏場に強い選手になる方法。ギアの準備と試合中にできること<SMASH>

伊達公子

2023.08.11

「心拍に意識を向けて平常な状態にする」ことを行なっていたと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 猛暑でもテニスの試合は行なわれます。特にジュニアは夏休みに大会があるので、試合が続きます。そんな中で少しでも勝利を呼び込むために行なうと良いことは何でしょうか?

 シンプルですが、暑さが苦手なら長いラリーをしないことです。長くなると体力も消耗しますし、ショートポイントにできるなら、それが得策です。

 相手の状態も把握しましょう。自分のプレースタイルを貫くこともいいですが、試合は相手があってのものです。相手の状態を見つつ、ショットを選択することができると、夏場に強い選手になれるかもしれません。自分のことでいっぱいになりがちですが、相手と向き合うことは大事です。相手の方がバテているかもしれませんから。

 もしも、呼吸が荒い状態になったら、ポイント間には大きく深呼吸して心拍数を落とすように心掛けましょう。心拍数が上がった状態では良いパフォーマンスは出せません。プロも呼吸を整えるために深く深呼吸することを行なっています。心拍に意識を向けて平常な状態にすると、パフォーマンスの低下を防げる可能性があります。
 
 ジュニアは夏の大会で1日に2試合戦うこともあるでしょう。そんな厳しい状況を乗り切るには、何より食事と睡眠が大事です。1日だけではなく連戦になることを考えて行動すること。そして、疲労が顕著に出る2試合目に良い状態で入るには、試合間の過ごし方も重要です。

 1試合目が終わったらクールダウンをすること。5~10分ほど走ったり、軽くストレッチをして乳酸が溜まらないようにします。すぐにタンパク質を摂り、涼しい所で頭、身体、心を一旦落ち着かせる時間を取ること。冷房の効いた部屋にいると、すぐに身体が動き出せないので、試合の少し前には外に出て身体を動かし、アップをするという段階を踏みましょう。会場内をウロウロしたり、友達と話をするよりも、するべきことはあるんです。

 最後にストリングのテンションについて。ストリングは温度に加えて湿度が高いと緩みやすいので、その時はテンションを高くして、硬く張っています。縦と横のテンションの幅を変えたこともあります。例えば、縦55/横51だったのを、縦は55のままで横を53にするなどです。暑くなって飛びすぎるなと感じたら、変えるようにしていました。

 夏場はラケットを置いておくだけでストリングは緩んできます。プロでないと頻繁に張り替えないと思いますが、張り替えの頻度を少し多くするとか、さらに暑くなってきたと感じた時にもう1度張り替えるなど、ちょっと工夫してみると良いのではないでしょうか。暑い時は自分の身体も厳しいので、ギアはベストな状態にしたいものです。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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