海外テニス

SNS上で好き勝手を言う“自称テニス専門家”に世界5位のルードが苦言「彼らの投稿で良い情報はせいぜい5%だ」<SMASH>

中村光佑

2023.08.30

その時々で主張が目まぐるしく変わる“自称テニス専門家”のSNS投稿。ルードは「真剣に受け止めるべきではない」と警鐘を鳴らす。(C)Getty Images

 近年、急速なSNSの普及によりテニスでも選手とファンが交流する機会が大幅に増えている。温厚な性格で人気の高い男子テニス世界ランク5位のキャスパー・ルード(ノルウェー)もファンとの触れ合いを楽しんでいると言うが、一方でSNS上に数多く存在する"テニス専門家"と呼ばれる人たちのコメントで、不快な気持ちを抱いてしまうことも多いと明かす。

 約87,000人のフォロワーを持つX(旧ツイッター)で「自分に関するコンテンツをよく見ている」というルード。現地8月28日に行なわれた「全米オープン」1回戦で、予選勝者のエミリオ・ナヴァ(アメリカ/同154位)に7-6(5)、3-6、6-4、7-6(5)で勝利した直後の会見では、Xで多々見られる"自称テニス専門家"に対し、次のように批判の言葉を口にした。

「いわゆるテニス専門家と呼ばれる人たちのコメントをたくさん読んできたが、全く正気の沙汰ではないし、どれも馬鹿げている。ある意味腹立たしいよ。過去にプロとしてプレーしたことがない人のほとんどは、自分たちが何を言っているのか全くわかっていないと思う」

 今季は4月の「エストリル・オープン」(ATP250)で優勝を手にするまで1度も連勝がなかったために、SNS上で多くの批判を浴びたというルードは、自称テニス専門家たちに向けてさらにこう続けた。

「もし僕の言うことに耳を傾けてくれるならここで言ってしまうけど、Xで投稿されている彼らの意見で良い情報と言えるのは、せいぜい5%あるかないかだ。コートでは彼らの言い分と同じことが現実に起きているわけではない。他にもたくさん答えられることはあるが、ひとまずこれだけは言っておくよ」
 
「今は新しい世の中になっていて、時折ファンと交流したくはなる。人々がSNSで何かについて誇張しているのを見るのはかなり興味深いことではある。彼らいわく、ある週では1人の選手が世界最高の選手になり、翌週には史上最悪の選手になるらしい。そのような主張を真剣に受け止めるべきではない」

 最後にルードは自身のこれまでの経験を踏まえ、「SNSに夢中になることの危険性」について以下のように語った。

「(わからないことを言ってくる)誰かに返信する時間を割くことに、腹を立てざるを得ないパターンの方が多いかな。まあ(SNSは)入り浸るには危険な場所だよ。自分について書かれたことを読むのは良い気分にはならないからね。僕は朗らかに受け入れているけど、時には自分の気持ちを抑えきれないこともある。ファンやアンチと呼ばれる人たちとやり取りするのはある意味簡単だ。ただ、そのように対抗するべき瞬間があるにしても、当然それに多くの時間を割くのは危険だね」

 ここ最近は選手に対する誹謗中傷も大きな問題となっているテニス界。現状ではプレーヤー自身がSNSとの向き合い方に気を使わなければならない点が、何とも歯がゆいものである。

文●中村光佑

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