海外テニス

世界王者陥落決定にも前向きなアルカラス。「年間1位になることが僕の目標」と逆に闘志を燃やす<SMASH>

中村光佑

2023.08.31

シンシナティ大会決勝ではジョコビッチ(右)に敗れたアルカラス(左)。全米後に1位が入れ替わるが「ノバクと僕は本当に良い戦いをしている」と現状をプラスに捉えている。(C)Getty Images

 現在開催中のテニス四大大会「全米オープン」の男子シングルス1回戦を突破した世界ランク1位のカルロス・アルカラス(スペイン)だが、大会閉幕後に更新されるランキングで現2位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)にその座を明け渡すことが決まっている。1回戦後の記者会見ではそれについて言及し、「できるだけ早くナンバー1に戻りたい」と意欲を示した。

 今回の全米にディフェンディングチャンピオンとして参戦している20歳のアルカラスは、現地8月29日に行なわれた1回戦で世界75位のドミニク・コプファー(ドイツ)と対戦。6-2、3-2とリードしたところでコプファーが左足首のケガを理由に棄権し、わずか1時間でロイド・ハリス(南アフリカ/177位)との2回戦へ駒を進めた。

 先月のウインブルドン決勝で大会5連覇と前人未到のグランドスラム(四大大会)24勝目を狙っていたジョコビッチにフルセットで競り勝ち、殊勲のGS2勝目を手に入れたアルカラス。だが今月中旬の「ウェスタン&サザン・オープン」(アメリカ・シンシナティ/ATP1000)決勝では4時間に迫る死闘の末にジョコビッチに敗れ、惜しくも優勝を逃していた。
 
 この結果両者のランキングポイントは全米開幕前の時点でわずか20ポイント差に。一足早く28日の1回戦でアレクサンドル・ミュレ(フランス/84位)にストレートで勝利したジョコビッチが、大会終了後にアルカラスを抜いて約3か月ぶりとなる1位復帰を確定させていた。それでも当のアルカラスは特にそのことを悲観していない様子だ。

 それどころか20歳の若獅子はナンバー1の地位を奪われることが「逆に自分のモチベーションになる」と前向きにコメント。そのうえで以下のように意気込みを語った。

「年間1位になることが僕にとっての目標だ。前にも言ったが、ノバクと僕は1位を争いながら本当に良い戦いをしている。全米オープン後に彼がナンバー1の座を取り戻すだろうとはわかっていた。大会が終わったら、できるだけ早く1位に復帰できるよう努力するよ。それが僕のゴールだ。僕はそのために頑張っている。まだたくさんのトーナメントが残っているから、年末までに1位を取り戻せるように頑張る」

 全米でも決勝でジョコビッチとの再戦が期待されるアルカラス。1位返り咲きに向け、次戦以降も負けられない戦いが続く。

文●中村光佑

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