専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
海外テニス

カナダ人選手が大会使用球の重さの変化を指摘!「我々の身体を壊している」と苦言<SMASH>

中村光佑

2023.09.04

元世界ランク25位のポスピシルは、大会使用球が徐々に重くなっていることが選手のケガの増加につながっていると指摘した。(C)Getty Images

元世界ランク25位のポスピシルは、大会使用球が徐々に重くなっていることが選手のケガの増加につながっていると指摘した。(C)Getty Images

 現地時間9月2日、男子テニス元世界ランク25位のバセク・ポスピシル(カナダ/現192位)が、自身の公式X(旧ツイッター/@VasekPospisil)を更新。四大大会を含め各ツアートーナメントで使用されているボールが次第に重くなってきていると指摘し、「選手の身体に大きな負担がかかっている」と苦言を呈した。

 近年はツアー大会の使用球に対して多くの現役選手から批判の声が上がっている。一例を挙げると、昨年の全米オープンでは現世界女王のイガ・シフィオンテク(ポーランド)が、同大会とその他の公式戦で使用されているボールが異なることを踏まえ、「全米のボールが普段のツアーで使われている他のボールより軽いことで、プレーしていくうちにどんどん軽くなっていく。ものすごく飛んでしまってコントロールするのが非常に難しいからミスが多くなってしまう」と不満を漏らしていた。

 また、地元勢のテイラー・フリッツ(アメリカ/現9位)も全米が四大大会で唯一男女が異なるボールを使用していることに触れながら、「僕は女子のボールで時速240kmのサービスを打てる。一方で男子用のボールはかなり重い。僕らが1年の大部分で使っているダンロップのツアー公式球でプレーしてから全米オープンの使用球であるウイルソンの男子用ボールに変わると、腕の調子が少しおかしくなる」と話していた。

 いくらトップ選手であっても、幾度となくボールが変わればそれだけアジャストするのが難しくなるのは明白だ。そんな中、2020年に選手の意見をより反映させるために設立された新たな選手団体「PTPA」の設立に携わったポスピシルは、このほど更新したXで近年の大会使用球の“重さの変化”が選手のケガの増加につながっているのではないかと指摘。そのうえで男女のテニス団体へ向けて以下のように提言した。
 
「数年前、ATP(男子プロテニス協会)とWTA(女子テニス協会)の間でファンに向けてより長いポイントを作り出すために、“試合の進行速度を落とす”ことを望んでいるとの議論があった。(それに伴って)ボールは徐々に重くなり、驚くべきことにそれが我々の身体を壊している。僕が話をしたほぼ全ての選手が同じように感じているようだ。ロッカールームで手首やヒジ、肩のケガをこれほどまでに見たことがない。ボールのこうした変化が元に戻らなければ、事態は悪化するだけだ。ATPとWTAは選手の声に耳を傾けてほしい」

 19年末からダニエル太郎(現男子95位)のコーチを務めるスベン・グローネフェルト氏が現地2日に更新した自身の公式X(@sventennis)で明かしたところによれば、現在開催中の全米では「数年ぶりに男女で同じボールが使われているものの、男女ともに前哨戦では使用されなかったボールでプレーしている」という。そうした現状に違和感を覚えているとしてスベン氏は同投稿で「ケガを減らし、練習の段階から選手のメンタルヘルスをないがしろにしないよう、各サーフェスに1つの(統一された)ボールを用意しよう」と提案。

 その後ダニエルはX(@tarodaniel93)で上記のスベン氏の投稿を引用し、「毎週ボールのブランドやタイプが変わるのがツアーの現実。例えば今年の全米オープンで使ったボールは前哨戦とは違う今年からの新しいタイプ。3大会出て同じボールを連続で使えるのもほとんどなく、ケガをしやすくなり調整ももっと大変に…重大な問題ではないからこそ直しやすいはずなのに…」と切実な悩みを綴った。

文●中村光佑

【PHOTO】フリッツはじめ全米オープン2023で存在感を放つ男子トップ選手の厳選ショットを一挙公開!
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号