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海外テニス

テニス選手の“ラケット破壊”は「エンターテイメント」としてあり?世界9位フリッツが持論「人が好きなものを罰することはできない」<SMASH>

中村光佑

2022.12.26

香港で開催されたエキジビ大会では、世界14位のノーリーにストレートで敗退したフリッツ。(C)Getty Images

香港で開催されたエキジビ大会では、世界14位のノーリーにストレートで敗退したフリッツ。(C)Getty Images

 中国・香港で開催された男子テニスのエキジビジョンマッチ「バンク・オブ・コミュニケーションズ 香港インターナショナルテニスチャレンジ2022」(12月23日~25日/ハードコート)に出場した世界ランク9位のテイラー・フリッツ(アメリカ)が、テニス系海外メディア『Claytennis』のインタビューに登場。テニス界で大きな問題となっている“ラケット破壊”について私見を述べた。

 テニスは試合が決するまで長時間コートに立ち続けなければならず、それゆえに思うようなプレーができない時間帯も発生しやすい。そのなかで選手がイライラを発散するため、ラケット破壊に及んでしまうケースが頻繁に見られる。

 無論これには「野蛮な行為はやめるべき」といった声が上がる一方で、「選手が見せる一種の“ショー”として許しても良いのではないか」という意見が出ることも多々ある。

 ちなみにフリッツは後者を理由にラケット破壊を擁護している選手の1人だ。今回のインタビューで25歳の彼は、次のように自身の考えを口にした。
 
「僕の感覚では、若い人は個性的で、ある種のクレイジーさを持った人が好きだと感じる。ある程度、制限を設ける必要はある。例えば、スタンドにボールを打ち込む、近くに人がいる場所でラケットを投げるなど、誰かを危険にさらす行為には必ず制裁を加えれば良い。

 でもそういった制限が徹底されないのであれば、ラケットを壊して憂さ晴らしをさせても問題ないと思う。それを見るのが好きな人が多いから、キリオスの試合はいつも観客でいっぱいになる。人が好きなものを罰することはできない」

 さらにフリッツはテニスがよりエンターテインメント性を取り込むことができれば、若年層のファンを獲得できるのではないかと主張。そのうえでこう詳しく説明した。

「正直に言おう。テニスも若いファンを獲得する必要があるが、そのなかで若者はドラマティックなものや病的なものを好む。僕のこういった発言にショックを受ける熱心なファンや純粋な人がいることはわかっているし、それは尊重するけど、そう言う人はおそらく50歳を過ぎているのではないかと思う。テニスは観客を若返らせる必要がある。かつて揉めたことのある選手同士が対戦することで、話題性が生まれ、人々の関心も高まる」

 ラケット破壊をはじめ問題行為を起こすことがほとんどないフリッツが、上記のような考察をするのは興味深い。常に孤独でストレスを抱えやすいスポーツならではの難しい話題であるだけに、他の選手の意見も聞いてみたいものだ。

文●中村光佑

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