女子選手屈指のパワーヒッターであるサバレンカは25歳、今年の全豪オープンで四大大会初優勝を飾り、今大会後に更新される世界ランキングではイガ・シフィオンテク(ポーランド)を抜いて史上29人目のナンバー1になることが確定している。
一方のガウフはしなやかな身のこなしで攻守バランス良くこなすアメリカ女子テニス界期待の星。昨年の全仏に続く2度目の四大大会決勝進出で、初の優勝を目指す19歳だ。過去の対戦成績はガウフの3勝2敗だが、直近では今年3月の「BNPパリバ・オープン」(WTA1000)でサバレンカがストレート勝ちしている。
決勝は立ち上がりからサバレンカがパワー全開で攻撃する。持ち前の強打をコーナーに叩き込み、第1ゲームでいきなりガウフのサービスをブレーク。ガウフの驚異的なコートカバーと、会場の熱狂的な応援に押されたか、サバレンカにもミスは多く、第4ゲームでは2本のダブルフォールトからブレークバックを許すが、それでもサバレンカは攻め抜く姿勢を崩さない。
強打に加えネットプレーも交えてゲームの流れをつかみ、第5、第7ゲームで立て続けにサービスブレークに成功。続くゲームをキープして6-2で第1セットを先取する。
しかし第2セット、ガウフは第1ゲームで15-40からサービスキープするなど、粘りのプレーを続けるうちに、少しずつ風向きが変わる。ウイナー級のボールを1本、2本とガウフが多く返すうちに、サバレンカのミスが増加。第4ゲームでダブルフォールトからサービスを落としたサバレンカは、フォアの強打も確率が落ちてくる。
逆にガウフはパワーでは劣るものの、ボールの深さとコートを広く使った配球でサバレンカを揺さぶり、リズムに乗る。虎の子のワンブレークを守ってその後は全てのサービスをキープしたガウフが、6-3でこのセットを奪い返した。
こうなると流れはガウフだ。会場の大声援と一体化したガウフは、第3セット第1ゲームでブレークに成功。ガウフから攻める形も多くなり、逆にサバレンカは武器であるはずのフォアのミスがさらに増える。
第3ゲームもブレークしたガウフが一気に4-0までリード。その後ワンブレークずつするが、そのままガウフが6-2で逃げ切り、全米女王の座に就いた。試合を通じウイナー25本にエラー46本だったサバレンカと、ウイナー12本、エラー19本と鉄壁のようにプレーしたガウフとの差が、勝敗を分けた。試合時間は2時間6分。
表彰式で「本当に大きな出来事。ちょっとまだ受け止めきれない」と初戴冠を喜んだガウフ。「自分の全てを出し切ることだけを考えていた」と自身のプレーを振り返った。
シフィオンテクの独走状態にあった女子テニス界が、にわかに変動を始めた。19歳のガウフが四大大会のタイトルホルダーとなり、世界1位の座にはサバレンカが初めて立つ。新たな時代のスタートを予感させる2023年全米オープンだった。
構成●スマッシュ編集部
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