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海外テニス

【伊達公子】全米オープンはエンターテインメント!観客は楽しくても選手には大変なこともある<SMASH>

伊達公子

2023.09.08

「雑音があり動きがあるのがスタンダート」だと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

「雑音があり動きがあるのがスタンダート」だと言う伊達公子さん。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)

 全米オープンテニスが終盤にさしかかり盛り上がりを見せています。今回は全米オープンの特徴について紹介しましょう。

 全米オープンは四大大会の中で最もエンターテインメント性が高い大会です。なんと言ってもセンターコートが大きい。約2万3千人を収容できる専用スタジアムは他にはありません。上の方から見ると選手が豆粒ぐらいなので、ちょっと大きすぎるのではとも思いますが(笑)、そのスケール感がアメリカらしいとも言えます。

 今では他のグランドスラムでも実施していますが、ナイトセッションを最初に始めたのは全米オープンです。デイセッションとナイトセッションで観客を入れ替えており、その日のナイトセッションの試合がメインイベントという位置付けです。

 会場は基本的にガヤガヤしています。例えばウインブルドンだとプレー中はシーンとしておりポイントが決まるとワーと盛り上がりますが、全米オープンでは常に物音や話し声がしており、静まり返ることがありません。

 ゲーム間の観客の移動もルーズで、時間になってもウロウロしていることもあります。収容人数が多い影響もあるのでしょう。雑音があり動きがあるのがスタンダートなので、選手は段々と慣れていきますね。
 
 全米オープンに限らず、アメリカの特徴なのですが、建物内の冷房が効きすぎていて寒い。冷房の寒さよりは外の日陰にいる方が快適なぐらいで、私はあまり建物内にいないようにしていました。

 そして、湿度も高い。日本の方が湿度は高いと思いますが、動くとアメリカでも湿度の高さを感じます。汗でウェアがべとつく状態で、冷房が効いているところにいると体調を崩しかねません。冷房に慣れていない日本人にとっては、まず冷房対策が必要になります。

 あと苦労したのが移動です。ホテルから会場が遠い。渋滞がなければ30分ぐらいで着きますが、渋滞にはまると何時になるのか読めません。だから早め早めの行動が必要になります。私はアップに時間をかける方なので、一番早い車で移動しても1ラウンド目の試合だとバタバタでした。

 遠くて寒いと、選手にとってのマイナス要素はありますが、テニス観戦という視点で考えると、全米オープンのナイトセッションは見ていて面白いと思います。ポイントごとに盛り上がりスタジアムに一体感があるので、「テニスを見るってこういうことなんだ」というような観戦の楽しみを味わえます。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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