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“ビッグ3”全員に勝利しているキリオスが激闘を振り返る「最も記憶に残るのはフェデラーとの初対決」<SMASH>

中村光佑

2023.10.06

現在戦線を離脱しているキリオスが“ビッグ3”と繰り広げた戦いについて語った。(C)Getty Images

 男子テニス元世界ランキング13位で現在はツアーを離れているニック・キリオス(オーストラリア/現470位)が、元プロボクサーのマイク・タイソン氏(アメリカ/57歳)が司会を務めるポッドキャスト「Hotboxin' With Mike Tyson」に出演。そのなかで長年男子テニスツアーをけん引してきた"ビッグ3"(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ)について語った。

 ビッグ3に初対戦で勝利するという珍しい記録を持つキリオスは、フェデラーに1勝6敗、ナダルに3勝6敗、ジョコビッチに2勝1敗という対戦成績を残している。そんなキリオスが3人の鉄人との対戦で「最も記憶に残る試合になった」と語るのが、フェデラーから最初で最後の勝利を挙げた2015年のマドリード・オープン(スペイン/ATP1000)2回戦だという。

 世界中のファンから愛されているフェデラーとの対決は会場の雰囲気も含め「いつも難しかった」と明かす。「フェデラーと試合をすると、その対戦相手は嫌な気分になってしまうかもしれない。世界のどこに行っても、彼はファンのお気に入りの選手だった。ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア…誰もがフェデラーの勝利を望んでいた」と対戦当時の思い出を回顧した。
 
 キリオスがビッグ3の中で比較的得意としているのがナダルだ。中でも両者の初対決が実現した14年のウインブルドン4回戦は世界中のファンに衝撃を与えた一戦となった。当時はまだ19歳で世界ランクも144位だったキリオスは、ナダルを相手に前評判を覆す圧巻のパフォーマンスを披露し、7-6(5)、5-7、7-6(5)、6-3で勝利して四大大会初のベスト8へと進出。ハードコートでもナダルに対して2勝を挙げているキリオスはもはや"ナダルキラー"と言っても過言ではない。

 キリオス自身も「俺は(あの3人の中では)ラファに対して最も多くの成功を収めた。彼との対戦ではうまくプレーできた」と述べ、ナダルには分が良いことを自覚していると語る。それでもやはりナダルは別格だと感じているようで、「彼は何度も俺に勝った」とその類まれなる強さを素直に称えた。

 続けてナダルに4セットで敗れた19年のウインブルドン2回戦にも言及。「4年前のウインブルドンでラファと対戦する前の日は、朝の4時までパブにいたよ。当時のエージェントが俺をパブから引きずり出した。4セットで負けたけど、夜の11時に寝ていたら問題なくプレーできていたかもね」とキリオスらしい裏話を明かした。

 一方、現状で唯一キリオスが勝ち越しているのがジョコビッチだ。17年2月のメキシコ・オープン(ATP500)準々決勝と同年3月のBNPパリバ・オープン(ATP1000)4回戦ではいずれもストレートで勝利。しかし昨年のウインブルドン決勝では6-4、3-6、4-6、6-7(3)の逆転で敗れ、惜しくも四大大会初優勝を逃していた。

 今年の全米オープンで男子選手最多となるグランドスラム24勝目を手にしたジョコビッチについてキリオスは「彼は史上最高の選手だ。四大大会を24回制していて、あと数回は優勝するだろう。クレイジーな記録だ」と脱帽。「しかし、彼がそれに値する評価を受けているとは思えない」とある種の違和感を抱いていることも明かした。

 幾多の輝かしい功績を手中に収めてきた3人のレジェンドにも引けを取らないプレーができるキリオスの言葉にはどこか深みがある。ビッグ3全員と対戦経験がある他の現役選手にもどんな感想を抱いているのか聞いてみたいところだ。

文●中村光佑

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