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【テニスルール虎の巻】サービスのトスを上げたあと、打つ直前で止めてやり直すことは問題ないのか<SMASH>

スマッシュ編集部

2023.10.07

どのように判断するかの基準は「サービスを打とうとしているプレーヤーがスイングを途中で止めた理由」にある。写真:THE DIGEST写真部

 多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

 そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこで元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

 今回は「サービス」です。

 サービスは自分のリズムで打つことができますが、トスを上げて打つ直前でスイングを止め、もう一度やり直すというのは、ルール的に問題ないのか……、聞いてみました。

   ◆    ◆    ◆

 本人にボールを打つ気がないのであれば問題ありません。

「ボールを打とうとして当たらなかった」のか、それとも「打つのを止めてスイングを止めた」かによって解釈が変わります。

 打とうとしてボールに当たらなかったからスイングを止めたのであれば「空振り」になります。ファーストサービスであれば、次はセカンドサービスからとなります。

 野球のバッターなどは、投球コースを見ながら途中でバットを止めたりします。その場合はスイングしたことになりません。それはテニスも同じです。サービスの動作に入り、ボールを捉える直前でスイングを止めたとしたら、打っていないことになります。

 プロの試合などではトスを上げ直すシーンをよく見ますが、中にはラケットを担いだ状態で止めて打ち直す選手もいます。
 
 また、途中でスイングを止めた時、突風によりボールが流されてラケットに当たったとします。そういう時はスイングには該当しません。スイングを止めた状態で、たまたまボールが当たったということなので、スイングにはカウントされないのです。

 ポイントとなるのは、ラケットにボールが「触る・触らない」という問題ではなく、プレーヤーに「打つ意志があったか」どうかです。打つ意志がないのであれば、やり直しをすることは可能です。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF国際審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2022年12月号より抜粋・再編集

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