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海外テニス

選手から批判の声が上がるマスターズ拡張フォーマット。ATP会長が「長期的にはケガの可能性を下げる」と反論<SMASH>

中村光佑

2023.10.08

マスターズの日程およびドローの拡張は、従来よりも選手の休養を増やし、ケガのリスク軽減につながるとガウデンツィATP会長は主張する。(C)Getty Images

マスターズの日程およびドローの拡張は、従来よりも選手の休養を増やし、ケガのリスク軽減につながるとガウデンツィATP会長は主張する。(C)Getty Images

 男子テニスを統括するATP(男子プロテニス協会)は、プロテニスを新たな高みに導くことを目標に掲げる「One Visionプロジェクト」の一環で、2023年シーズンから一部マスターズ1000大会の大会期間およびドロー数を従来の8日間・56ドローから12日間・96ドローに拡大している。実際に現在開催中の「ロレックス上海マスターズ」(10月4日~15日/中国・上海/ハードコート/ATP1000)も今年からこの拡張フォーマットが導入された。

 上海に先駆ける形でクレーシーズンの「マドリード・オープン」と「イタリア国際」では12日間・96ドローが採用され、「One Visionプロジェクト」は着実に発展を遂げつつある。ちなみにこのフォーマットは春の米国マスターズ(インディアンウェルズとマイアミ)では早くから採用されているため、選手にとってはそれほど目新しいことではない。

 海外メディア『UBITENNIS』によれば、今回の導入当初は選手からの反対の声も多かったようで、元世界王者のアンディ・マリー(イギリス/現39位)も「より過酷なスケジュールを強いられることになってしまう」との意見を述べていた。

 だがATPのアンドレア・ガウデンツィ会長は、12日間・96ドローのフォーマットでは1日休みが設けられるため、結果的に選手の負担を減らすことにつながるのではないかと主張する。現在、上海大会を訪れているガウデンツィ会長は以下のように自身の考えを口にした。

「選手たちが1日休みを取れるようになったことが重要だと考えている。それが長期的にはケガの可能性を下げることになると思う」
 
「私は選手たちがそのスタイルに適応できるようになると強く信じている。確かに大会の日程は長くなり、(表面上は)トーナメントの最終ラウンドまでたどり着くプレーヤーにとっては長丁場となる。だが1、2、3回戦で負けた選手も、シーズン最後には(上位進出した選手たちと)同じくらいの日数になるだろう。今回の変更が彼らに大きな違いを生み出すとは考えにくい」

 さらにガウデンツィ氏は「遠征の日数が増える可能性があるため、選手たちは明らかにスケジュールを調整する必要がある」としつつも、拡張フォーマットの利点を改めてこう強調した。

「肉体的・精神的健康の観点からすると、12日間で96人の選手がプレーするという形は、1週間で6試合を連続してプレーするよりもはるかに良いと思っている。従来のフォーマットではケガが多く発生してしまう。時間が経てばわかると思うが、我々は新たなスタイルがうまくいくだろうと大きな自信を持っている」

 なお『UBITENNIS』は25年シーズンより「カナダ・マスターズ」と「シンシナティ・マスターズ」(アメリカ)でも同じ形で規模が拡大される見込みだと報じている。ただ実際に12日間・96ドローのトーナメントでプレーした選手の反応はしっかりとフィードバックしていくべきだろう。あくまでも慎重を期しながらプロジェクトを進めていってほしい。

文●中村光佑

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