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海外テニス

「引退がよぎったことはない」元世界8位シュワルツマンに復調の兆し!約1年半ぶりにトップ10プレーヤーを下す<SMASH>

中村光佑

2023.10.10

「ロレックス上海マスターズ」3回戦で、シュワルツマンが世界8位フリッツとの2時間44分に及ぶ熱戦を制し、ベスト16入りを果たした。(C)Getty Image

「ロレックス上海マスターズ」3回戦で、シュワルツマンが世界8位フリッツとの2時間44分に及ぶ熱戦を制し、ベスト16入りを果たした。(C)Getty Image

 苦しい日々を過ごしてきた“小さな巨人”に復調の兆しが見え始めている。

 現在開催中の男子テニスツアー「ロレックス上海マスターズ」(10月4日~15日/中国・上海/ハードコート/ATP1000)は現地9日にシングルス3回戦を実施。本戦にワイルドカード(主催者推薦)で出場している元世界ランク8位のディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン/現130位)が第7シードのテイラー・フリッツ(アメリカ/同8位)に6-4、3-6、7-6(5)のフルセットで競り勝ち、同大会初となるベスト16進出を決めた。

 身長170センチと小柄ながらも力強いショットや、粘り強いプレーを武器に素晴らしい活躍を続けてきた31歳のシュワルツマン。ところが23年シーズンに入ってからはほとんど結果を残せておらず、上海開幕前の時点では通算9勝22敗と苦戦が続いていた。ちなみに今季はここまでベスト8以上に進出した大会は1つもない。

 それでも諦めずに努力を続けてきた“小さな巨人”にようやく明るい光が見えてきた。今週の上海では1回戦でルカ・バンアッシュ(フランス/66位)を逆転で下すと、2回戦では成長著しい21歳のイリ・レヘチュカ(チェコ/30位)にもフルセットで勝利。またしてもシーソーゲームとなったフリッツとの3回戦でもファイナルセットタイブレークにもつれ込む熱戦をものにし、見事16強入りを果たした。
 
 昨年4月の「バルセロナ・オープン」(スペイン・バルセロナ/クレー/ATP500)で、当時世界9位だったフェリックス・オジェ-アリアシム(カナダ/現15位)を破って以来約1年半ぶりの対トップ10勝利を挙げたシュワルツマンは、試合後の会見で苦しかった時期を振り返りつつも、「引退の言葉が頭をよぎったことはない」と強調。続けて勝利の喜びを素直に表現するとともに、今後に向けての意欲も口にした。

「僕はテニスを辞めようと思ったことは一度もなかったし、そんなことを言ったこともなかった。僕が経験したことは多くの要因が絡んでいるが、特に南米の選手にとって常に対処するのが難しいものだ。なぜなら、我々南米の選手がツアーを転戦する時は他の国の選手よりもはるかに故郷から離れることになり、そういう状況が何か月も続くからだ。家族や友人に会えずに、家から遠く離れた場所でノンストップで移動し、試合で戦う7~8人の選手たちのことについて(チームで)議論している。物事がうまくいっている時でさえも、ストレスや精神的プレッシャーを感じることはわかっている。

 今日の結果にはとても満足しているよ。このレベルを維持するためにできるだけ多くの大会に出場するつもりだ。今日のようなレベルを見せることができれば、たとえ負けても満足感は得られるはずだ」

 ベスト8進出を懸け、現地11日に行なわれる4回戦では第22シードのニコラス・ジャリー(チリ/22位)と対戦するシュワルツマン。この勢いのままさらなる勝ち上がりを期待したい。

文●中村光佑

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