男子テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が母国のスポーツメディア『Sportal』のインタビューに回答。そのなかで先日元世界王者のラファエル・ナダル(スペイン/現240位)がジョコビッチに向けて「何事にもシビアに生きている」と発言したことについて言及し、「それには同意しない」と反論した。
ことの発端は現在ケガで離脱中のナダルが、9月初旬に応じたスペインのテレビ局『Movistar Plus』のインタビューでのこと。ジョコビッチが全米オープンで男子テニスでは前人未到の四大大会24勝目を飾ったことについて言及したナダルは、「もちろん自分も史上最多のグランドスラムタイトルを獲得した選手になりたかった。それについては疑いの余地はない」と本音を口にしながらも、「自分は記録にそこまで固執してきたわけではない」と発言。
続けて常に最高の結果を求め続けるジョコビッチと自身の「テニスに対する姿勢やキャラクター」には違いがあるとして、以下のように語っていた。
「ノバク(ジョコビッチ)は何事にも熱心に取り組んでいる。僕よりもシビアに生きていると思う。彼がそれ(四大大会最多優勝)を達成できなかったら、もっと大きなフラストレーションを感じていただろう。そういう考えを持っているからこそ、彼は最強の選手なのだと思う」と評し次のように語った。
「僕も野心的な人間だったと思うが、僕の場合は“健全な野心”によって、コート上で物事がうまくいかなかった時にイライラしたり、必要以上に怒ったりすることなく、物事を大局的に見ることができた。それが僕の生き方だ。文化は異なり、選手や国ごとに異なるスタイルで経験を積んでいる。僕は今言ったような感じで生きてきて、僕自身はそれに満足している」
このナダルの言葉がまるで「ジョコビッチの野心は健全でない」と言っているようにも捉えられてしまい、SNS上では批判と擁護の声が交錯した。
この一件については特に何も反応を示してこなかったジョコビッチだったが、今回のインタビューで初めて沈黙を破った。長年宿命のライバルとしてしのぎを削ってきたナダルの功績を称賛しつつ、「彼の意見には賛同しない」と反論。一方で「その話題にはあまり踏み込みたくない」とし、こう続けた。
「彼(ナダル)のコメントが急速に広まり、多くの人がそのことについて話しているのを見てきた。誰もが自分の意見、特定の文脈で他の人のことをどのように解釈するかを考える権利がある。僕が言えるのはそれだけだ。ラファは偉大なチャンピオンであり、僕は最大のライバルとして、そして僕のキャリアの形成と僕が達成した結果に貢献した選手として、彼を尊敬し、感謝している」
「僕はナダルやフェデラー(スイス/元1位/昨年引退)について否定的な見方で話すつもりはない。彼らに対する僕の敬意は、僕が彼らに抱き得るいくつかの否定的な考えよりも優位に立つ。繰り返すが、あれはラファの意見であり、もちろん自分は同意しない。 僕には僕の意見があるが、それ以上深入りしてほしくないから、僕の意見はここでは共有しない。その必要もない」
ジョコビッチはツアーで60回近く対戦してきたナダルの真意をなんとなく理解しているのかもしれない。いずれにせよ、そこには2人にしかわからない関係性が築かれているのだろう。
文●中村光佑
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続けて常に最高の結果を求め続けるジョコビッチと自身の「テニスに対する姿勢やキャラクター」には違いがあるとして、以下のように語っていた。
「ノバク(ジョコビッチ)は何事にも熱心に取り組んでいる。僕よりもシビアに生きていると思う。彼がそれ(四大大会最多優勝)を達成できなかったら、もっと大きなフラストレーションを感じていただろう。そういう考えを持っているからこそ、彼は最強の選手なのだと思う」と評し次のように語った。
「僕も野心的な人間だったと思うが、僕の場合は“健全な野心”によって、コート上で物事がうまくいかなかった時にイライラしたり、必要以上に怒ったりすることなく、物事を大局的に見ることができた。それが僕の生き方だ。文化は異なり、選手や国ごとに異なるスタイルで経験を積んでいる。僕は今言ったような感じで生きてきて、僕自身はそれに満足している」
このナダルの言葉がまるで「ジョコビッチの野心は健全でない」と言っているようにも捉えられてしまい、SNS上では批判と擁護の声が交錯した。
この一件については特に何も反応を示してこなかったジョコビッチだったが、今回のインタビューで初めて沈黙を破った。長年宿命のライバルとしてしのぎを削ってきたナダルの功績を称賛しつつ、「彼の意見には賛同しない」と反論。一方で「その話題にはあまり踏み込みたくない」とし、こう続けた。
「彼(ナダル)のコメントが急速に広まり、多くの人がそのことについて話しているのを見てきた。誰もが自分の意見、特定の文脈で他の人のことをどのように解釈するかを考える権利がある。僕が言えるのはそれだけだ。ラファは偉大なチャンピオンであり、僕は最大のライバルとして、そして僕のキャリアの形成と僕が達成した結果に貢献した選手として、彼を尊敬し、感謝している」
「僕はナダルやフェデラー(スイス/元1位/昨年引退)について否定的な見方で話すつもりはない。彼らに対する僕の敬意は、僕が彼らに抱き得るいくつかの否定的な考えよりも優位に立つ。繰り返すが、あれはラファの意見であり、もちろん自分は同意しない。 僕には僕の意見があるが、それ以上深入りしてほしくないから、僕の意見はここでは共有しない。その必要もない」
ジョコビッチはツアーで60回近く対戦してきたナダルの真意をなんとなく理解しているのかもしれない。いずれにせよ、そこには2人にしかわからない関係性が築かれているのだろう。
文●中村光佑
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