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ジョコビッチが20歳の後輩の活動資金を全面支援。107位まで上げたホープは「必要なものを全て与えてくれる」と感謝<SMASH>

中村光佑

2023.10.26

王者ジョコビッチ(左)が期待をかけ、全面的にサポートしている後輩が20歳のメジェドビッチ(右)だ。今季ツアーで2度4強入りしている。(C)Getty Images

 9月の全米オープンで前人未到の四大大会24勝目を飾るなど、36歳にして依然勢いが衰えない男子テニス世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)。その鉄人が、今大きな期待を寄せている若手がいる。2021年にプロに転向した弱冠20歳のハマド・メジェドビッチ(セルビア)だ。

 母国の首都ベオグラードでテニスアカデミー「ノバク・テニスセンター」を運営するジョコビッチは、19年に同アカデミーで一緒に練習したメジェドビッチに興味を示していたという。プロを目指してひたむきに頑張るメジェドビッチの志の高さに、同郷のレジェンドも心惹かれたようだ。

 メジェドビッチは今シーズンだけでチャレンジャー(下部大会)3勝を挙げており、ツアー本戦でも7月のグシュタード(クレー/ATP250)と今月初めのアスタナ(ハード/ATP250)でベスト4に進出。6月の全仏オープンでは念願の四大大会本戦デビューを果たし、世界ランクを107位まで上げているホープだ。

 そんな20歳の選手活動を全面的にサポートしているのが、他ならぬジョコビッチなのである。今年5月末のATP(男子プロテニス協会)公式サイトのインタビューで「9歳か10歳の誕生日に父親に連れて行ってもらったノバク・テニスセンターで初めてノバクと出会った」と明かしたメジェドビッチは、現在もジョコビッチと深い縁で結ばれている。「今では僕のテニスの費用や旅費、コーチングの費用などを全て支払ってくれている」というから驚きだ。

「ノバクはずっと経済的な面で僕を助けてくれている。僕のキャリアに必要なものは全て与えてくれる。彼はただただ僕が必要な時に助けてくれて、今でもあらゆる面で僕を支えてくれている。彼が僕のそばにいてくれてうれしいよ」
 
 またメジェドビッチの父親のエルディン氏も、先日セルビアメディア『Sportal』の取材に応じ、成長途上の息子をいつも懸命にサポートしてくれるジョコビッチに向け感謝の言葉を口にした。

「ノバクはあらゆる意味でハマドのために努力してくれている。彼は息子をどうするかについてアイデアを出してくれたが、私は『ノバク、それには全部お金がかかるよ!』と言ったんだ。でも続けて彼は1人コーチを雇うことを勧め、我々がどうすべきか話してから、『トレーニングするかどうかはハマド次第だ。残りのことは僕がやる!』と言ってくれた」

「結局私たちは一銭も使わなかった。テニスの世界では決して少なくない金額だったよ。想像してみてほしい。世界最高の選手が、プレシーズンに一緒に練習するために僕の息子に電話をかけてくることを。それは、メッシやロナウドが『何か必要なことはあるかい?』と言っているようなものだ」

 ここまで全面支援しているジョコビッチ。メジェドビッチの才能が開花し始めたことを誰よりも喜んでいるに違いない。エルディン氏によれば、「ノバクは『お金のためにやっているわけじゃない! お金を稼げる場所はある。僕の仕事は手助けすることだ』と言ってくれた」とのこと。いずれ2人がツアーで対戦する日を楽しみにしたい。

文●中村光佑

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